2013-01-01から1年間の記事一覧

今年の十冊

読書量が少なく、あんまり紹介記事も書けなかった一年でした。 坂上香「ライファーズ 罪に向き合う」 ライファーズ 罪に向きあう作者: 坂上香出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2012/08/21メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見…

河野さんからのお返事

先日の記事について、河野美代子さんから、お返事いただきました。 まず、河野さんはフェミニストから嫌がらせを受けた経験があるということでした。 20年前、「さらば、悲しみの性」という本を出版し、期せずしてベストセラーになり、話題となった。あるフ…

「風俗で働く」ことを怒ることは百害あって一利なし

目次 1.「風俗で働く」若い女性に説教する婦人科医 2.風俗で働く若者への説教の弊害(社会的な問題) 3.自分を大切にできないこと(心理的な問題) 4.支援者こそが学ばなければならない 5.情報をアップデートすること 1.「風俗で働く」若い女性…

性的虐待を受けた子どものための本

少し古いまとめなのですが、子どもの頃に、性的虐待を受けたかたが、体験をツイッターで書いています。 「性的虐待を受けた子供のその後」 http://togetter.com/li/77543 記憶が四十年も消えず恐怖も拭い去れない。誰にも言えなかったことが尾を引いた原因で…

授業等で性暴力の描写を含む映画を上映する際の注意

先日、「ゆるせない、逢いたい」上映会*1を行い、大変充実した議論を行いました。近日中に、報告をアップしたいと思っています。 さて、この映画はデートレイプの問題を取り扱い、性暴力の場面も作品内に含まれます。全国の大学で、この作品の映画の上映会を…

「子供のためを思えば」活動費を寄付金からねん出すべきなのか?

寄付の問題がネットで話題になっています。日本からユニセフへ募金する場合には「日本ユニセフ」を通す場合と、黒柳徹子個人口座に振り込む場合とがあります。前者の場合は、募金の一部が日本ユニセフの事務や広報などの活動に使われるため、ユニセフ本部に…

金井純一監督「ゆるせない、逢いたい」上映会&トークイベントのお知らせ

イベントのお知らせです。金井純一監督「ゆるせない、逢いたい」の上映会&トークイベントを行います。本作品は、11月16日より全国公開される新作映画です。 金井純一監督「ゆるせない、逢いたい」 http://yuru-ai.com/ 作品では、高校生の主人公はつ実がデ…

杉山春「ルポ虐待――大阪二児置き去り死事件」

ルポ 虐待: 大阪二児置き去り死事件 (ちくま新書)作者: 杉山春出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2013/09/04メディア: 単行本この商品を含むブログ (23件) を見る 2010年夏に、母親が二児を置き去りにした事件がある。三歳と一歳八ヶ月の二人の子どもたちは…

匿名の契約社員による、建設コンサルタント会社に対する告発

はてな匿名ダイアリーに、匿名での大阪の建設コンサルタント会社に対する告発記事があります。 「契約社員を使い捨て」 http://anond.hatelabo.jp/20130913044949 会社名を挙げての匿名の告発で、真偽はわかりません。 2012年10月から2013年11月まで、契約社…

「ゆるせない、遭いたい」という作品ができたそうです

秋から「デートレイプ」とその後を描いた作品が公開されるそうです。 「ゆるせない、遭いたい」 http://www.yuru-ai.com 作品紹介は以下です。 出逢ってまもなく恋に落ちた十代の男女。互いへの想いを募らせていくふたりだったが、あるちょっとした誤解やス…

[展示[漫画]]京都国際マンガミュージアム「バレエ・マンガ 〜永遠なる美しさ〜」

京都国際マンガミュージアム「バレエ・マンガ 〜永遠なる美しさ〜」 http://www.kyotomm.jp/event/exh/ballet2013.php 楽しみにしていた展示なので行ってきた。夏休みということで、マンガミュージアムは子どもたち*1がたくさん訪れ、書架の前の椅子に座って…

プラズマみかん第7回公演「わんころと揺れ雲をめぐる冒険」のお知らせ

これまで、このブログで何度か紹介してきた劇団プラズマみかんの「わんころと揺れ雲をめぐる冒険」の再演のお知らせをいただきました。 プラズマみかん第7回公演 「わんころと揺れ雲をめぐる冒険」 私たちが子供だった頃、隣町に魔物が現れた。 魔物は、地面…

産經新聞の性犯罪特集その後

数日前に批判していた*1、産經新聞の性犯罪特集ですが、今日、完結しました。最後の第四回はとてもいい記事でした。 「『強姦加害者の8割は知人』の難しさ、パワハラとセットに…被害女性は救済されず、加害者“野放し”の現状の不条理」 http://sankei.jp.msn…

松本大洋「Sunny」

Sunny 第1集 (IKKI COMIX)作者: 松本大洋出版社/メーカー: 小学館発売日: 2011/08/30メディア: コミック購入: 4人 クリック: 33回この商品を含むブログ (47件) を見る 松本大洋の最新作が出ていたので、深く考えずにとったら、児童養護施設を舞台にした子ど…

正義漢ヅラをして、被害者を追い詰める人たち

偶然だが、下の性暴力救援センター大阪(SACHICO)の活動報告に関する記事*1を書いた直後に、産経新聞の今日付けの記事を読んだ。こちらもSACHICOの活動に触れているが、恣意的で被害者への二次加害の要素を含んだものである。タイトルからして、煽りが入っ…

戎能民江「性暴力被害者支援法制の方向性――性暴力救援センターの現場から――」

ジェンダー法学会の学会誌である「ジェンダーと法」No.10(2013年)に性暴力救援センター大阪(SACHICO)*1の活動報告がまとめられていたので読んだ。これは2012年12月7日に早稲田大学で行われたジェンダー法学会学術大会プレ企画「性暴力被害者支援法制の方…

藤岡利充「立候補」

選挙に立候補する、いわゆる「泡沫」候補を追ったドキュメンタリー。舞台は2011年11月に行われた、大阪都知事選&大阪市長選。このとき、橋下徹は絶頂期で、維新の会が躍進していた。そんな中、何度も各地の選挙に出馬しては落選している、立候補する泡沫候…

男の中で語る

フェミニズムの知識があるとされる、男性の中で、性について語ることがある。そこにいる全ての男性が、フェミニズムの功績を認め、男女差別の解消を目指そうという気持ちが共有されているとする。そこで、フェミニズムやそれに関連の深い構築主義の限界が語…

イシデ電「私という猫 呼び声」

私という猫 ~呼び声~ (バーズコミックス スペシャル)作者: イシデ電出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス発売日: 2013/06/24メディア: コミックこの商品を含むブログ (6件) を見る 2008年に出た「私という猫」の続編だ。前作も、野良猫の生きていく楽しいやり…

産むことと産まないことの間

予想以上に、前の記事*1が盛り上がってしまい、書いた本人も驚いています。 私が「産みたい」のか「産みたくないのか」が気になってしょうがない人も多いようでした。でも、産みたい/産みたくないという気持ちは二値的なものではないし、単線的なものでもあ…

「子どものこと、ちゃんと考えたほうがいいよ」という暴力

私は31歳になった。男性のパートナーと同居しているので、表向き上、「幸せなヘテロのカップル」ということになっている*1。子どもはいない。たぶん、持つことはないだろう。 このたった三行を書くために、ものすごく緊張する。私にもそれなりに事情があるの…

お金と幸せ

web

ここ数日、まったく違う筆者の記事を読んで「あれ?似ている」と思った。以下の二つ。 pha「なんかなんもやる気しないんだよな」 http://d.hatena.ne.jp/pha/20130607/1370618579 「ひろゆき『金』について語る – おいらがお金を持ってわかったこと」 http:/…

エリザベス・バック「ソーシャルワークと修復的正義」

ソーシャルワークと修復的正義作者: エリザベスベック,ナンシー P クロフ,パメラブラムレオナルド,林浩康,大竹智,大原天青,小長井賀與,竹原幸太,中島和郎,村尾泰弘,山下英三郎出版社/メーカー: 明石書店発売日: 2012/11/02メディア: 単行本この商品を含むブ…

坂上香「ライファーズ 罪に向き合う」

ライファーズ 罪に向きあう作者: 坂上香出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2012/08/21メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見る 著者の坂上さんは、1990年代からずっと米国の刑務所の状況や、受刑者や依存症者の回復や社会復帰を…

お父さんのヒロイズムはいらない

私が昨日書いたセックスワークに関する記事*1に対する批判をいただいたので、あげておく。 「お父さんが語る売春」 http://brighthelmer.hatenablog.com/entry/2013/05/30/045858 もうタイトルからしてゲンナリする。「お父さん」ってなんだよ?もし、内田さ…

原田伸一郎「表現規制とヴァーチャリティ : 『描かれた児童虐待』を めぐる法と倫理」

自民党、公明党、日本維新の会が表現規制に関する法案を提出し、その中で漫画やアニメ、CGなどと性犯罪などとの関連性を調査研究するよう政府に求めているため、ネットでも話題になっている。すでに雑誌協会・出版協会が反対声明を出しているようだ。 「『実…

セックスワークについては、日々議論されている

内田樹さんのセックスワーク論がブログであがっている。これまでのセックスワークについての議論を、内田さんなりにまとめた後、このように述べている。 「売春婦は保護すべきだ」という主張と、「売春はよくない」という考えをどうやって整合させるのかとい…

「第9回RJ全国交流会」

来週の日曜日に開かれる「第9回RJ全国交流会」で報告させていただくことになりました。RJはRestorative Justiceの略語で、日本語では「修復的司法」「修復適正義」などと訳されます。従来の刑事司法では、被害者はあくまでも証言をするポジションいおかれ、…

生活保護についての入門書

生活保護法の改案の話が出ている。先日、生活保護についての書籍を購入したところなので書影を紹介。 和久井みちる「生活保護とあたし」 生活保護とあたし作者: 和久井みちる出版社/メーカー: あけび書房発売日: 2012/12/01メディア: 単行本購入: 1人 クリッ…

会田誠展抗議運動について(澁谷知美の批判を受けて)

東京の森美術館で行われた会田誠展が、一時期ネット上で議論になっていた。特に『犬』という作品は、四肢が切断された少女が描かれており、展示に対して抗議が起きる事態となった。 私自身は、東京まで展示を見に行く機会もなかったので、作品の内容について…