「第9回RJ全国交流会」

 来週の日曜日に開かれる「第9回RJ全国交流会」で報告させていただくことになりました。RJはRestorative Justiceの略語で、日本語では「修復的司法」「修復適正義」などと訳されます。従来の刑事司法では、被害者はあくまでも証言をするポジションいおかれ、国家が秩序を乱したとされる人の、無罪・有罪や量刑を決める場として裁判が行われてきました。他方、修復的司法は被害者と加害者の間の関係に光を当てており、当事者や関係者が集まって、どうやって状況をよくしていくのかを考えていくための、話し合いの場を持つことが重視されます。
 西欧先進国では、すでに修復的司法は多くの実践を重ねており、刑事司法を補う大事な視点であるとして、国連でも取り上げられています。日本では、輸入学問として法学者を中心とした研究が進み、なかなか実践が広まらないのが現状です。
 このRJ全国交流会では、実際に修復的司法の実践に取り組むNPOや、司法関係者が多く参加しており、意見や情報が交換されています。たぶん、日本で唯一の全国規模の修復的司法の研究会・交流会です。
 私の報告のタイトルは「修復的司法とジェンダー 修復的司法・被害者支援・フェミニズムをつなぐ視点」です。先にも述べたように、修復的司法は司法関係者を中心にして推進されてきました。しかし、現在や教育・福祉・心理などのいわゆる支援職の人たちや、一部のフェミニストも修復的司法に関心を持ち、議論を始めています。しかし、それぞれの論者は持っているバックグラウドが異なるため、共同作業を進めるのが難しくなっているのではないか、という懸念が、今回の私の報告の背景にあります。
 私自身は、性暴力被害者の支援活動やサバイバーの自助グループの研究からスタートしています。また、フェミニストでもあります。そうしたバックグラウンドを持っていると、ジェンダーの問題は不可避です。しかし、残念ながらこれまで修復的司法に限らず法学の世界では、ジェンダーの主題は大きく扱われることが少なかったのが現状です。同時に、私のほうは法学の専門教育を受けていませんから、そちらの状況はよくわからないのが正直なところです。というわけで、「ジェンダーの視点を持って修復的司法について考えること」を中心に、今回は「視点を共有すること」を目指して報告したいと思っています。

RJ全国交流会 関係各位
BCCにて送信)

        第9回RJ全国交流会のご案内(確定報)

 第9回RJ全国交流会を下記のとおり開催する運びとなりました(RJは,
“Restorative Justice”(修復的司法,修復的正義)の略称です)。
 当交流会は通常の学会とは異なり,参会者が相互に知り合い,言いたいこと,
聞きたいこと,答えたいことを遠慮なく発言できる場にしたいと思っております。
万障お繰り合わせのうえ,ご参加くださいますよう,お願い申し上げます。

               西村春夫,前野育三,細井洋子,高橋則夫
               (幹事世話役:平山真理,黒澤睦,柴田守)

               記

1.日 時
 2013年6月2日(日)10時00分〜17時20分(9時45分受付開始)
  ※日本被害者学会第24回学術大会の翌日です。
  ※プログラム終了後,懇親会を予定しております。

2.会 場
 明治大学駿河台キャンパス)研究棟4階 第1会議室
 〒101−8301 東京都千代田区神田駿河台1−1
 http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html
 ※リバティタワー3階から連絡通路で研究棟4階につながっております。
  当日は,リバティタワーから各所に案内掲示板を配置いたします。

3.プログラム
 後掲のとおりです。

4.参加費
 1000円(資料印刷代を含む)
 ※当日受付にお持ちください。
 ※学生・院生は無料です。

5.その他
 交流会は入場自由です。ご友人知己をお誘いください。
 このご案内も転送していただいて構いません。

                   <お問合せ先>
                   明治大学法学部
                   黒澤睦(くろさわ・むつみ)
                   mutsumi@aurora.dti.ne.jp
                   090-8309-9896

                                以上


======= 第9回RJ全国交流会プログラム(確定版) =======

  9:45〜    受 付

 10:00〜10:10 開会の辞

 10:10〜10:40 報 告
  1.「RJ実践 in Japan」
    宮澤節生 氏 (青山学院大学)作成
    細井洋子 氏 (元・東洋大学)代読・コメント

 10:40〜12:30 参加者自己紹介,簡単な研究・実務・実践上の近況報告

 12:30〜13:30 昼食・休憩・交流
         (昼食は各自お取り下さい。会場近隣にコンビニ・飲食店があります。)

 13:30〜14:50 報 告
  2.「台湾の先住民族におけるRJ思想」
    呉 豪人 氏 (台湾・輔仁大学(Fu Jen Catholic University))
  3.「韓国の矯正における修復的司法の実践」
    安 成訓 氏 (韓国刑事政策研究院(Korean Institute of Criminology(KIC)))

 14:50〜15:00 休憩・交流

 15:00〜16:20 報 告
  4.「修復的対話によるいじめの予防と解決」
    百瀬英夫 氏 (NPO法人 被害者加害者対話の会運営センター)
    田口淑子 氏 (NPO法人 被害者加害者対話の会運営センター)
    野田健二 氏 (NPO法人 被害者加害者対話の会運営センター)
  5.「修復的司法とジェンダー 修復的司法・被害者支援・フェミニズムをつなぐ視点」
    小松原織香 氏(大阪府立大学大学院)

 16:20〜16:30 休憩・交流

 16:30〜17:10 報 告
  6.「受刑体験者として、刑務所・受刑者及び社会復帰者の現状とRJの関係について」
    五十嵐弘志 氏(民間非営利団体 マザーハウス 代表)

 17:10〜17:20 閉会の辞

 18:00頃〜   懇 親 会(受付時に出欠を確認して予約いたします)

(注)時間配分は一応のものです。議論があれば,できる限りそれを遮らずに進行します。
   報告順序も,必要に応じて変更する可能性があります。