司法

「望むのは死刑ですか オウム“大執行”と私〔告白編〕」

長塚洋監督のドキュメンタリー作品「望むのは死刑ですか オウム“大執行”と私〔告白編〕」の一般公開に向けて、クラウドファンディングが始まりました。この作品では、オウム真理教の信者たちが起こした犯罪によって、人生が変わってしまった人たちを追ってい…

道頓堀のカニ料理店と修復的司法の試み

修復的司法の研究者のMLで教えてもらったニュースです。大阪・道頓堀のカニ料理のお店のオブジェを壊してしまった若者たちが、社長に陳謝。今は、お店を手伝ったり、新しいオブジェのデザインに協力したりしているそうです。若者たちは、コロナの影響で失業…

山花郁夫議員による修復的司法再検討の提言

衆議院の山花郁夫議員(立憲民主党)が、国会で修復的司法を再検討する提言をしていたことを知った*1。犯罪被害者基本法を議論していた時代に触れながら、以下のように発言している*2。 あの当時は被害者側の視点というのがあらゆる制度の中で欠けているとこ…

日大アメフト部悪質タックル事件について

2018年5月に起きた日大アメフト部悪質タックル事件について、警視庁が前監督と元コーチの嫌疑はないものと判断した。 警視庁「選手が前監督らの指導を誤認」日大悪質タックル 警視庁「選手が前監督らの指導を誤認」日大悪質タックル:朝日新聞デジタル この…

警察官が被害者に「処女ですか?」と聞く必要はない

インターネット上で、警察官が性暴力被害者に「処女ですか?」と聞くのは、「処女の被害であれば強姦致傷になるからだ」という流言が飛び交っている。警察のセクシュアルハラスメント行為を正当化する言説であるので、訂正を求めたい。 以下で(1)「強姦」と…

 「RJと医療メディエーション」のご案内

一般社団法人メディエータズ主催の修復的司法講演会が、10月9日(日)に東京で開催されます。今年の講師は、医療現場でメディエーションに取り組む荒神裕之さんと、私が講師を務めます。 私は、今回は〈当事者の声〉について、もう一度、考えるような場にな…

中村一成「ヘイトクライムへの修復的アプローチを考える」

法学セミナー2015年7月号出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 2015/06/12メディア: 雑誌この商品を含むブログを見る 2015年の法学セミナー7月号に、中村一成「ヘイトクライムへの修復的アプローチを考える」が掲載されている。これは、日本でのヘイトクライ…

日本「性とこころ」関連問題学会 第7回学術研究大会

「性とこころ」関連問題学会で、一般演題で報告します。内容は、性暴力事例における修復的司法についてで、心理セラピストが主導して展開しているプログラムに焦点を当てます。 性暴力事例は、長らく修復的司法でも禁忌とされてきました。特にセラピストから…

第11回RJ全国交流会のご案内

今週末にRJ全国交流会が開催されます。この会は、一年に一度、RJに関心のある人たちが全国から集まる場所になっています。実践者がたくさん参加します。研究者以外の方もぜひご参加下さい。 第11回RJ全国交流会のご案内 第11回RJ全国交流会を下記のとお…

なぜ、あなたが加害者を憎むのか?

昨日、記事*1で紹介した元少年Aの本を入手して、怒りの記事*2をあげている人がいる。 「少年A 神戸連続児童殺傷事件加害者の手記「絶歌」のあとがきに怒りに震えた」http://quadstormferret.blog.fc2.com/blog-entry-224.html この記事を書いた人は加害者を…

元少年Aの手記の出版

神戸連続児童殺傷事件の、加害者であった男性が手記を出版した。太田出版から『絶歌』というタイトルで書店に並ぶ予定らしい。 「神戸連続児童殺傷事件、元少年が手記出版」(朝日新聞デジタル) http://www.asahi.com/articles/ASH695KC1H69UCVL01C.html 手…

性暴力に関する司法制度についての入門書

私は法学専攻ではないので、いつも司法制度について勉強するのには苦労しています。判例集なども見ますが、性暴力事例は残念ながら、あくまでも「法律の専門家」によって書かれており、「性暴力の専門家」がコメントしているものは稀です。 同じく、司法に関…

リベンジポルノについて

リベンジポルノで逮捕者が出て、事件報道がなされています。リベンジポルノとは、過去に撮った性的な写真や動画を、相手への嫌がらせ行為として公開することです。犯罪抑止の言説がこれから出てくると思いますので、先に書いておこうと思います。以下に、本…

RJ(修復的司法)とメディエーション講演会

昨年も開催された、一般社団法人メディエーターズでの講演会の第二弾です。前半は私が講師を務めます。犯罪の被害者と加害者の対話を行うRJや、対話によるトラブル解決であるメディエーションを通して、「コミュニケーションによって何が生まれるのか」につ…

講演会「やり直せる、支え合う社会を目指して」

先日、ご紹介したNPO法人「静岡司法福祉ネット明日の空」が、本格的に活動を開始します。「明日の空」は、生活困窮による犯罪を繰り返しを止めるための支援を行っています。 NPO法人「静岡司法福祉ネット 明日の空」(設立準備室) http://d.hatena.ne.jp/fo…

テレビドラマ「女はそれを許さない」

何気なくネットでオンデマンド放送を見てから、すっかり「女はそれを許さない」に夢中になってしまった。(まだ二回しか放映されていない) 「女はそれを許さない」 http://www.tbs.co.jp/yurusanai2014/ 41歳の海老沢(寺島しのぶ)は強引な裏取引で勝訴を…

修復的司法を紹介する動画

修復的司法を紹介する英語の動画はたくさんインターネットに掲載されています*1。心に残ったのは、「家族会議」(family group conference)を、「子どもの視点から」と「母親の視点から」の二本立てて紹介してるアニメーションです。(英語ですが、アニメー…

NPO法人「静岡司法福祉ネット 明日の空」(設立準備室)

先日、NPO法人「静岡司法福祉ネット 明日の空」(設立準備室)」の活動について知る機会を得ました。 現在、刑務所から出所した人たちの「再犯」「累犯」が大きな問題となっています。もちろん、罪を犯すのはよくないことです。しかし、刑務所を出た後に、行…

修復的「司法」なのか修復的「正義」なのか?

先日の研究会で私の研究は、修復的「司法」なのか修復的「正義」なのかで紛糾してしまいました。もともとは、restorative justiceという単語なのですが、訳語に議論があり、かつては「恢復的正義」なんて語もありました。とりあえず訳語を避けて、ここでは広…

被害者支援員養成講座基礎コース

大阪被害者支援アドボカシーセンターの被害者支援員養成講座基礎コースが開講されます。10回の講座になっており、当事者尾話を聞いたり、行政や司法関係者との連携や、社会資源活用について学んだりするようです。性暴力や子どもの虐待についての講座もあり…

ジョン・キャメロン・ミッチェル「ラビット・ホール」

事故で4歳の息子を亡くしたベックは、なんとか前向きに生きようとするが、周囲の小さな言動で動揺し、怒ったり悲しんだりして苦しんでいる。家族や友人、近所の人たちの気遣いや愛情から発せられた言葉に傷つき、理解されないと孤立感を覚える一方で、そうな…

金井純一監督「ゆるせない、逢いたい」上映会・アフタートーク報告

大変遅くなりましたが、映画「ゆるせない、逢いたい」(金井純一監督)上映会・アフタートーク*1の報告をアップいたします。最下部には、PDFファイルを添付しており、会場からの声を個人を特定しない形で掲載しています。 私の個人的な感想としては、商業映…

大門剛明「罪火」

罪火 (角川文庫)作者: 大門剛明出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2012/04/25メディア: 文庫この商品を含むブログを見る 修復的司法をテーマにしたミステリー作品ということで、取り寄せて読んでみた。2009年に初版が出たようだが、この時点で大門さんがここ…

性暴力加害者の心理

性犯罪をおかして、逮捕され服役した人の手記が掲載されています。加害者として経験を話す人は多くないので、参考に挙げておきます。(加害についても触れられているので、リンク先の閲覧にご注意ください) 「【追記あり】元露出狂が綴る防犯対策」 http://…

金井純一監督「ゆるせない、逢いたい」上映会&トークイベントのお知らせ

イベントのお知らせです。金井純一監督「ゆるせない、逢いたい」の上映会&トークイベントを行います。本作品は、11月16日より全国公開される新作映画です。 金井純一監督「ゆるせない、逢いたい」 http://yuru-ai.com/ 作品では、高校生の主人公はつ実がデ…

正義漢ヅラをして、被害者を追い詰める人たち

偶然だが、下の性暴力救援センター大阪(SACHICO)の活動報告に関する記事*1を書いた直後に、産経新聞の今日付けの記事を読んだ。こちらもSACHICOの活動に触れているが、恣意的で被害者への二次加害の要素を含んだものである。タイトルからして、煽りが入っ…

戎能民江「性暴力被害者支援法制の方向性――性暴力救援センターの現場から――」

ジェンダー法学会の学会誌である「ジェンダーと法」No.10(2013年)に性暴力救援センター大阪(SACHICO)*1の活動報告がまとめられていたので読んだ。これは2012年12月7日に早稲田大学で行われたジェンダー法学会学術大会プレ企画「性暴力被害者支援法制の方…

エリザベス・バック「ソーシャルワークと修復的正義」

ソーシャルワークと修復的正義作者: エリザベスベック,ナンシー P クロフ,パメラブラムレオナルド,林浩康,大竹智,大原天青,小長井賀與,竹原幸太,中島和郎,村尾泰弘,山下英三郎出版社/メーカー: 明石書店発売日: 2012/11/02メディア: 単行本この商品を含むブ…

坂上香「ライファーズ 罪に向き合う」

ライファーズ 罪に向きあう作者: 坂上香出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2012/08/21メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見る 著者の坂上さんは、1990年代からずっと米国の刑務所の状況や、受刑者や依存症者の回復や社会復帰を…

原田伸一郎「表現規制とヴァーチャリティ : 『描かれた児童虐待』を めぐる法と倫理」

自民党、公明党、日本維新の会が表現規制に関する法案を提出し、その中で漫画やアニメ、CGなどと性犯罪などとの関連性を調査研究するよう政府に求めているため、ネットでも話題になっている。すでに雑誌協会・出版協会が反対声明を出しているようだ。 「『実…