日本「性とこころ」関連問題学会 第7回学術研究大会

 「性とこころ」関連問題学会で、一般演題で報告します。内容は、性暴力事例における修復的司法についてで、心理セラピストが主導して展開しているプログラムに焦点を当てます。
 性暴力事例は、長らく修復的司法でも禁忌とされてきました。特にセラピストからは、再被害の危険やトラウマ反応の悪化を心配して、慎重論が出ています。他方、近年、急速にヨーロッパでは「性暴力と修復的司法」に関心が高まっています。これは、西欧諸国で刑事司法改革が進められてきたにも関わらず、被害者が被害届を出せない状況が続いていることも背景にあります。
 日本では、性暴力についての刑事司法改革が、西欧にならって行われてきた側面があります。私もその多くに賛同します。日本の性暴力についての法律や法の運用は、非常に問題があり、西欧諸国のように改革が必要です。
 他方、刑事司法手続きでは、証拠や証言の一貫性が求められます。そのため、性暴力被害者は繊細な感情を切り捨てて、裁判に挑まなければなりません。もちろん、そうした努力をすることで、性暴力被害者は、反性暴力運動の礎を築いてきました。しかしながら、刑事司法改革が進められても、やはり「刑事司法」の枠組みと、性暴力の問題はそぐわないことがあります。
 こうした問題に率直に向き合っているのが、性暴力事例における修復的司法に取り組むセラピストたちだと、私は現時点では思っています。司法に関する理念ではなく、現場の性暴力被害者のニーズからプログラムが展開されているように思います。
 昨年、フライブルク(ドイツ)で開催された性暴力のセラピーと修復的司法に関するワークショップや、ルーヴァン(ベルギー)で開催された性暴力と修復的司法についての国際学会に参加し、直接に実践者の議論も聞くことができたので、それについても触れたいと思っています。
(私は一般演題で報告します。開始は10時5分ごろの予定です)

日本「性とこころ」関連問題学会 第7回学術研究大会
2015年6月27日(土)ホテルメトロポリタン池袋
http://jssm.or.jp/7thmeeting/