映画

返答:宮崎駿監督「君たちはどう生きるか」

私の宮崎駿監督「君たちはどう生きるか」のModern Timesで書いた評*1に、Twitterで言及していただいているようなので、短く返答しておく。最近、Twitterの不具合が多いので、本文をコピーして掲載する。 概ね納得のいく批評だが2点。まず吉野源三郎の「君た…

宮崎駿監督「君たちはどう生きるか」

公開初日の初回で観てきました。そうしてよかったです。ネタバレを踏まずに、真っ白な状態で観るのがベストな作品だと思います。しかも劇場で、ひとりで観るのが最高でした。 何を言っても蛇足とネタバレになってしまう作品なんですが、速報的に評を書いたの…

高畑勲「かぐや姫の物語」

遅まきながら、高畑勲監督の「かぐや姫の物語」を観た。公開された頃に、サバイバーの友人から「あれはDVとか性暴力の話だ」と聞いていたのだけれど、全くその通りだった。 物語は原作の「かぐや姫」をトレースしている。竹から生まれた姫は、おじいさんとお…

さよなら、エヴァンゲリオン

「シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇」を観てきた。うっかり泣いてしまった。感傷のままに綴っておく。(以下は、ネタバレがあるので閲覧注意) 公開2日目に観てしまった。こんなことをするのは、1997年に公開された劇場版「Air」を観に行ったとき以来だ。私は…

原一男監督「ニッポン国VS泉南石綿村」

原一男監督「ニッポン国VS泉南石綿村」を試写で観た。 泉南地域はかつて石綿紡績業が盛んだった。石綿(アスベスト)は断熱材、防火財、機械の摩擦防止のためにあちこちで使われ、日本の経済成長を支えた天然鉱物である。しかしながら2005年の「クボタショッ…

小森はるか「息の跡」

この映画は2013年から2016年の陸前高田を撮影したドキュメンタリーである。陸前高田は津波の甚大な被害を受けた。多くの人が家族や大事な人を亡くし、住むところを失くした。その被害のあとすぐに、国道沿いにある「たね屋」が再建した。「たね屋」の佐藤さ…

我妻和樹「願いと揺らぎ」

我妻和樹「願いと揺らぎ」の上映会に参加した。 東北支援チャリティ上映会 『願いと揺らぎ−震災から1年後の波伝谷に生きる人びと−』 https://www.facebook.com/events/1799698950281479/ この作品は我妻和樹監督の「波伝谷に生きる人びと」の続編である。201…

我妻和樹「波伝谷に生きる人びと」

波伝谷とは、宮城県の南三陸町にある地域の名前である。その地に暮らす人々は、波伝谷を「部落」と呼んでいる。海と山に面し、漁業と農業を営む部落は、2011年3月11日に起きた震災の津波におそわれた。しかし、この映画では、ほとんど「震災」の映像はでてこ…

ジョージ・ミラー「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

あんまりにも評判がいいので「マッドマックス 怒りのデス・ロード」を観に行ってきた。ネットではフェミニズム映画かどうかが議論になっているようだが、私はこの作品は男性監督の「男の夢みるフェミニズム」の映画だと思った。抑圧され奴隷化された男性が、…

ジョン・キャメロン・ミッチェル「ラビット・ホール」

事故で4歳の息子を亡くしたベックは、なんとか前向きに生きようとするが、周囲の小さな言動で動揺し、怒ったり悲しんだりして苦しんでいる。家族や友人、近所の人たちの気遣いや愛情から発せられた言葉に傷つき、理解されないと孤立感を覚える一方で、そうな…

金井純一監督「ゆるせない、逢いたい」上映会・アフタートーク報告

大変遅くなりましたが、映画「ゆるせない、逢いたい」(金井純一監督)上映会・アフタートーク*1の報告をアップいたします。最下部には、PDFファイルを添付しており、会場からの声を個人を特定しない形で掲載しています。 私の個人的な感想としては、商業映…

金井純一監督「ゆるせない、逢いたい」上映会&トークイベントのお知らせ

イベントのお知らせです。金井純一監督「ゆるせない、逢いたい」の上映会&トークイベントを行います。本作品は、11月16日より全国公開される新作映画です。 金井純一監督「ゆるせない、逢いたい」 http://yuru-ai.com/ 作品では、高校生の主人公はつ実がデ…

「ゆるせない、遭いたい」という作品ができたそうです

秋から「デートレイプ」とその後を描いた作品が公開されるそうです。 「ゆるせない、遭いたい」 http://www.yuru-ai.com 作品紹介は以下です。 出逢ってまもなく恋に落ちた十代の男女。互いへの想いを募らせていくふたりだったが、あるちょっとした誤解やス…

藤岡利充「立候補」

選挙に立候補する、いわゆる「泡沫」候補を追ったドキュメンタリー。舞台は2011年11月に行われた、大阪都知事選&大阪市長選。このとき、橋下徹は絶頂期で、維新の会が躍進していた。そんな中、何度も各地の選挙に出馬しては落選している、立候補する泡沫候…

「父さんへのポストカード」

今年も「父さんへのポストカード」の上映会が行われます。父親から性的虐待を受けた男性が、これまでの人生を振り返り、家族と対話しながら、父親と対面しようとするドキュメンタリーです。当事者である男性は、HIVに感染したゲイ男性で、映画監督として評価…

2月さるくびとシネマ「姉妹よ、まずかく疑うことを習え」「妻はフィリピーナ」「ルッキング・フォー・フミコ」「沖縄のハルモニ」「障害とセックスとビデオテープ」「In God's House」「女と孤児と虎」

メールでお知らせいただきました。京都で、性に関する映画の上映会があります。以下、転送歓迎だそうです。 こんにちは。 グローバリゼーションとひとの移動映画祭がお送りする映画の部屋、「さるくびとシネマ」2012年2月上映会のお知らせです。 今回は、こ…

「百合子、ダズヴィダーニヤ」

浜野佐知監督の「百合子、ダズヴィダーニヤ」が全国ロードショーだそうです。 「百合子、ダズヴィダーニヤ」 http://yycompany.net/ 特に東京ロードショー(ユーロスペース)では、前売りの売り上げで上映期間が決まってしまうので、「ぜひ前売り券の購入を…

関西クィア映画祭

紹介が遅くなってしまったのですが、明日から関西映画祭の大阪上映会が始まりますね。来月は京都での上映会もあります。 「関西クィア映画祭2011」 http://kansai-qff.org/2011/ 【大阪】 ヘップホール 9/17(土)18(日)19(月+休) 【京都】 京大西部講堂…

『父さんへのポストカード』映画上映会&感想会

『父さんへのポストカード』映画上映会&感想会 映画の案内: 日本でもスタンスカンパニーから配給された『プリンス.イン.ヘル』の監督であり、本作を監督したHIV positiveでゲイのミヒャエル・シュトックは、子供の頃、父親から性的虐待を受けていた。そ…

浜野佐知『百合子、ダスヴィダーニヤ』資金協力のお願い

上の記事で紹介した、北原さんのブログ*1経由です。「浜野佐知監督の新作『百合子、ダスヴィダーニヤ』を実現させるために、皆さまに資金協力をお願いしております。 」という記事が上がっています。 「カンパ求めています!」 http://d.hatena.ne.jp/hamano…

クリント・イーストウッド「チェンジリング」

*ネタバレしてますチェンジリング [DVD]出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル発売日: 2010/01/22メディア: DVD購入: 1人 クリック: 29回この商品を含むブログ (35件) を見る 公開からずいぶんと時間がたったが、「チェンジリング」を観た。私は封切り…

ポン・ジュノ「母なる証明」

*この映画は謎解きの面白さがあります。この記事には、ネタバレに近い記述ありますので、観る予定の方には読むのをオススメしません。 主人公である「母」を演じたのはキム・ヘジャである。彼女は韓国では「韓国の母」と呼ばれる大スターだ。「母」の息子ト…

栗原奈名子「ブラジルから来たおじいちゃん」アンコール上映

「ブラジルから来たおじいちゃん」*1が東京と横浜でアンコール上映されるそうです。大正元年生まれの紺野堅一さんは、1931年にブラジルに渡航します。その後、移民として生活します。そして、90歳になっても、日本とブラジルを行き来して、子ども・孫や、日…

第31回ドーン・シネマクラブ「ブラジルから来たおじいちゃん」

上の記事のイベント同日ですが、大阪・ドーンセンターで「ブラジルから来たおじいちゃん」の上映会があります。監督は、「ルッキングフォー・フミコ」を撮った栗原奈名子!楽しみです。 第31回ドーン・シネマクラブ「ブラジルから来たおじいちゃん」 とき 20…

「パレスチナではレズビアンが殺されている」にどう答えるか

こちらもMLでお知らせをいただきました。関西クィア映画祭で、イスラエル人から、イスラエルに逃げてくるパレスチナのゲイもいるのに、イスラエルが人権侵害国家のようい言われるのは皮肉なことことではないか、というような指摘があったそうです。それにつ…

京都精華大学「ナヌムの家2」の上映

MLで連絡をいただきました。「ナヌムの家」の1作目はDVDになっているのでご覧になられた方も多いかも知れません。2作目以降は、上映会でしか目にすることができませんので、ぜひ足をお運びください。 ★京都精華大学「ナヌムの家2」の上映日時:5月12日(火曜…

「ゆれる」と「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」

連休中に「ゆれる」を観た。ゆれる [DVD]出版社/メーカー: バンダイビジュアル発売日: 2007/02/23メディア: DVD購入: 3人 クリック: 216回この商品を含むブログ (600件) を見る偶然、同じ日にid:ohnosakikoさんが観ていて、レビューを書いている。 「兄弟の…

第4回 関西クィア映画祭

うっかり、宣伝を忘れていました。当然、私も何本かは観に行きますよ! 第4回 関西クィア映画祭 あたりまえ が 揺れる。 そんな感覚を味わってみませんか? クィアな(普通とされていない)人々・生き方をテーマにした、他で は見られない厳選された映画が目…

ケヴィン・マクドナルド「敵こそ、我が友 〜戦犯クラウス・場ルビー」

フランスで裁かれ、終身刑という判決が出たクラウス・バルビーを取り上げた「敵こそ、我が友」を観た。バルビーは、ナチス親衛隊の拷問の専門家で、多くのユダヤ人や抵抗運動家を虐げた。特にジャン・ムーランを死に至らしめたことで有名である。戦後は、反…

ダニー・レヴィ「わが教え子、ヒトラー」

下の映画と同じく、ナチスを扱った映画である。こちらはドイツ映画である。 1944年の、敗色濃厚なナチスドイツで、ゲッベルスは戦意高揚を狙って、大行進とヒトラーの演説を企図する。しかし、肝心のヒトラーはうつ状態に陥っていた。そこで、ゲッベルスは、…