映画

「容疑者Xの献身」

別の映画の予告で、堤真一と松雪泰子の恋愛モノだと知り、いてもたってもいられなくなって観にいった。*1テレビドラマの「ガリレオ」シリーズは全く観てなかったので、心配だったが、これ一本でも十分楽しめた。 一応、シリーズの主役は、天才物理学者湯川(…

宮崎駿「崖の上のポニョ」

映画館まで行って観てきた。さすがに、公開から時間がたっているし、平日の東宝公楽*1でみたので、がらがらだった。 絵はきれいだし、ポニョはかわいいし、歌も耳に残るし、それはいいんだけど……これって、結婚ファンタジーの話だよね?(以下、ネタバレです…

蜷川幸雄「蛇にピアス」

小説である金原ひとみ「蛇にピアス」が映画化された。蛇にピアス作者: 金原ひとみ出版社/メーカー: 集英社発売日: 2004/01/05メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 46回この商品を含むブログ (187件) を見る金原さんが、2004年に芥川賞をとったときには、「…

坂本順治「闇の子供たち」

各所で話題になっている、タイの児童買春・虐待について描いた「闇の子供たち」を観てきた。描かれている状況は、悲惨としか言いようがない。子どもたちは、檻の中に入れられ、呼び出されては強制売春をさせられる。白人や日本人に売られる子供たちは、死ぬ…

イ・チャンドン「シークレット・サンシャイン」

友人に薦められて観に行ってきた。韓国映画はほとんど観たことがないので、新鮮だった。(以下、ネタバレあります) 主人公のシネは、夫を交通事故で亡くし、再出発のために息子のジュンを連れて、ソウルから蜜陽の街にやってくる。美人でピアノ教師のシネは…

「スラヴォイ・ジジェクによる倒錯的映画ガイド」

以前の記事で紹介した、「イメージフォーラム・フェスティバル2008」の「スラヴォイ・ジジェクによる倒錯的映画ガイド」に行ってきた。ジジェクという人は、精神分析家ラカンに傾倒してる、ちょっとアレなおじさん。 いきなり、「惑星ソラリス」の、庭に水を…

「NAKBA」アーカイブ版の先行予約受付

「NAKBA」アーカイブ版を製作する企画がある。製作資金が足りないため、先行予約受付が始まった。DVDで30〜40巻という長さになりそうな上、18万円と高額なため個人購入は(少なくとも私は)難しい。資料的価値は高いだろうし、この企画はぜひ実現されて欲し…

「Women in Struggle ――目線――」

昨日観た「NAKBA」で引っかかっていた場面がある。武装集団にコミットしていた若い女性が、収容所で拷問を受けたあと、家に帰る。そして、日常の生活を営み、好きでない相手と結婚することを監督の広河さんに相談しているときに、「収容所はパーフェクトだっ…

本田孝義「船、山にのぼる」

舞台芸術系のML*1で話題にあがったので、早速観てきた。「船、山にのぼる」というドキュメンタリーである。ダムの底に沈む村に、芸術家たちがプロジェクトを持ち込んで、共同体に連帯意識をもたらす様子を描く。というと、葛藤やドラマを想像するかもしれな…

広河隆一「NAKBA パレスチナ1948」

映し出されるのは、虐殺である。道端に転がる腕。笑顔で駆け寄る子ども、目を見開き口から血を垂らして死んでいる子ども。 私が、今まで、パレスチナに関連して、一番衝撃を受けたのは、次の文章である。 「暴力の連鎖」、「イスラエルとパレスチナは互いに…

大島新「シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録」

先日、「夕坂童子」の記事で紹介した唐組を追ったドキュメンタリー映画を観てきた。2007年公演の「行商人ネモ」の脚本が出来上がってから、大阪公演初日を迎えるまでの記録である。多くの人の脳裏をよぎる「なぜ、今、唐なのか?」という疑問。唐の人となり…

「4ヵ月、3週と2日」

2007年のカンヌでパルムドールをとった、ルーマニア映画である。タイトルは「4ヵ月、3週と2日」。1987年のルーマニアでは、労働力確保のために、バースコントロールが敷かれ、避妊が禁止された。当然、中絶は禁止される。その中で、ルームメイトのガビツァが…

「靖国」

映画「靖国」の公開をめぐる問題は、私はほとんど追えていないので、何が起きたのかよくわからない。能天気に「いやあ、上映中止に追い込まれるなんて、ハクがついてよかったじゃん」とか思っていた。反体制は芸術の王道ではないですか。*1 なにはともあれ、…

第1回京都トランスジェンダー映画祭

こちらも京都での映画祭です。 第1回京都トランスジェンダー映画祭 京都大学 正直に生きたい!素直でいたい!表現したい!「私たち/ボクたち」はここにいる! トランスジェンダーの映画ばかりを集めて上映する、日本国内では初開催のトランスジェンダー映画…

イメージフォーラム・フェスティバル2008

映像アートの上映会があるようです。 映像アートの祭典「イメージフォーラム・フェスティバル2008」が4月27日より開幕。 実験、記録、デジタル・イメージ、アニメーション、ドキュメンタリーなど あらゆるジャンルの最新映像を紹介。 東京、京都、福岡、名古…

若松孝二『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』

久しぶりに映画館*1に足を運んだ。この数年、1960年代の回顧録や、団塊世代の自叙伝の発行が増えている。ひしひしと、この時代に青春を送った人たちの「語り残さねばならぬ」という気持ちが伝わってくる。一連の若者たちの革命運動へのコミットの中で、たく…

「≒草間彌生〜わたし大好き〜」

ドキュメンタリー映画≒(ニアイコール)シリーズ第5弾!ついに前衛芸術家・草間彌生が登場!! (略) 今まで観ることの叶わなかった、草間の創作活動と日常。自らを天才と自負する揺るぎ無き自信、作品に挑む時の凛とした精神の高み、日常の佇まいに見え隠…

松尾スズキ「クワイエットルームにようこそ」

閉鎖病棟に、クワイエットときたので、「これは、沈黙させられてきた精神病者の話に違いない」と思ったのだけれど、大きな誤解でした。男*1が描きそうな「病んでる(っぽい)女の子たちの世界」の話。リアリティがまったくなくて、つまらなくて沈没しそうだ…

SABU「弾丸ランナー」

近所のスーパーで、300円でビデオが売られてました。気の毒だったので、買ってしまった。風邪を引いてたので、一人で部屋で見る。 ストーリーは特になく、ダメ男(田口トモロヲ)と、ヤク中ミュージシャン(DIAMOND☆YUKAI)と、へたれヤクザ(堤真一)がひた…

日本映画の周辺

「スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ」が巻頭特集だったので、読んでみる。そういえば、木村佳乃の踊りが、やたら真面目なコンテンポラリーぽかったので、気になっていたが、黒田育世が振り付けしたとわかった。*1ああいう、「オンナ性」を剥き出しにした振り…

ビョン・ヨンジュ「ナヌムの家」

これも私にとっての課題だったので、ビデオでみた。*1この映画は、証言を扱ったものだが、「ショアー」とは全く趣が違う。「ショアー」が映画を通して、「真実の探求」を行ったのするなら、「ナヌムの家」は「真実を探求する行為」を追ったものだ。 もちろん…

三池崇史「スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ」

マイケル・ムーア「シッコ」を観るつもりだったのだが、あまりにも疲れていたので、ふらっと入ってしまった。*1すさまじく後悔した。これは、金曜ロードショーを録画しておいて、正月に寝ながら観る映画だ。 どういう映画かというと、日本人がコスプレして西…

ジョン・キャメロン・ミッチェル「ショートバス」

友人に強く勧められて観にいってきた。最初に言っておくけど、映画としてはまったく面白くない。演技は下手だし、カメラワークがのっそりしているし、せりふも展開も陳腐。センスもださめ。政治的メッセージにいたっては、聞き流しておいていいと思う。(特…

「ヱヴァンゲリヲン 新劇場版序」

義務感で見に行ってきました。*1やはり、見届けなければ、というような複雑な思いです。私は、リアルタイムでエヴァンゲリオンを見ていたのが、14歳。いやでも、自分と主人公たちを重ね合わせてみていたました。 親の期待にこたえられない主人公の碇シンジに…

「ソフィーの選択」

友人に借りたビデオだったが、ずっと部屋の隅に積んでいた。しかし15日に、エイヤッと思ってついに観た。 アメリカを舞台に、小説家を志す主人公が、風変わりなカップルとブルックリンでの生活を送るストーリーである。カップルには様々な謎や秘密があるのだ…

関西クィア映画祭企画

MLでお知らせを頂きました。関西クィア映画祭のあと、感想をやり取りする交流企画です。 第32回サバイバル・フェミニズム―映画祭を楽しもう! 今年もやってまいりました!関西クィア映画祭を楽しむ企画です 。毎日、毎日、テレビをつけても、ネットをつない…

「SHOAH(ショアー)」

数年前に、記憶と証言の問題に取り組みかけて、絶対に避けることのできない作品だとわかっていながら、入手できなかった。書き起こした本は読んだものの、やはり何がこの作品で起きているのかは絶対知るべきだと思った。同時に、なんとか観ないですませるな…

さくらん

あんまりにも酷くて、映画館まで観に行ってしまったことを忘れようとしていた映画だけれど、バイブ屋LPCのコラム(http://www.lovepiececlub.com/index.html)で、フーサンが「全く同感!」というレビューを書いていたので引用する。 わたしは映画を鑑賞しな…

鈴木清順『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』

大阪の九条(大阪ドームの近く)にあるシネ・ヌーヴォで『清水清順レトロスペクティヴ』(http://www.cinenouveau.com/cinemalib2007/seijun/seijyun.html)と銘打った上映が来月1日まで行われている。私は、『ツィゴイネルワイゼン』と『陽炎座』は14イン…

恋人たちの失われた革命

1968年のパリを舞台に、芸術家を志す左翼学生の、革命と堕落のストーリー。と、書けば一行なのですが、本当にそれだけでした。前半の1時間半は警察から逃げまくり、後半の1時間半はパトロンの家で女といちゃいていました。本当にそれだけで3時間の作品が終わ…