恋人たちの失われた革命

 1968年のパリを舞台に、芸術家を志す左翼学生の、革命と堕落のストーリー。と、書けば一行なのですが、本当にそれだけでした。前半の1時間半は警察から逃げまくり、後半の1時間半はパトロンの家で女といちゃいていました。本当にそれだけで3時間の作品が終わったので、逆にすがすがしくて吹き出してしまいました。
 主人公(20歳の自称詩人青年)は冒頭シーンから大麻を吸い、3時間ずっとアヘンでふらふらです。そして、カルチェ・ラタン以降は、若者達はセックスばっかりして、「革命はどうしたっ?!」という感じです。「失われた」というよりは「忘れ去られた」革命でした。
 2004年に制作されているので、フランスで当時の学生運動が、どのように回顧されているかを考えるにはいいかもしれません。私は冒頭で「俺は無名でいたいんだ」と言ってのけた男の台詞が印象的でした。今の日本で口にすると馬鹿みたいだ、という点から逆照射して考えると面白そうです。フランス大統領選はサルコジ優勢のようですが、この国の今の50代60代が、どう自分の青春を捉えるのか、には興味があります。