2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧

本田孝義「船、山にのぼる」

舞台芸術系のML*1で話題にあがったので、早速観てきた。「船、山にのぼる」というドキュメンタリーである。ダムの底に沈む村に、芸術家たちがプロジェクトを持ち込んで、共同体に連帯意識をもたらす様子を描く。というと、葛藤やドラマを想像するかもしれな…

広河隆一「NAKBA パレスチナ1948」

映し出されるのは、虐殺である。道端に転がる腕。笑顔で駆け寄る子ども、目を見開き口から血を垂らして死んでいる子ども。 私が、今まで、パレスチナに関連して、一番衝撃を受けたのは、次の文章である。 「暴力の連鎖」、「イスラエルとパレスチナは互いに…

大島新「シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録」

先日、「夕坂童子」の記事で紹介した唐組を追ったドキュメンタリー映画を観てきた。2007年公演の「行商人ネモ」の脚本が出来上がってから、大阪公演初日を迎えるまでの記録である。多くの人の脳裏をよぎる「なぜ、今、唐なのか?」という疑問。唐の人となり…

「4ヵ月、3週と2日」

2007年のカンヌでパルムドールをとった、ルーマニア映画である。タイトルは「4ヵ月、3週と2日」。1987年のルーマニアでは、労働力確保のために、バースコントロールが敷かれ、避妊が禁止された。当然、中絶は禁止される。その中で、ルームメイトのガビツァが…

サヨクと付き合い給え

なにげなく、ネットをうろうろしていたら、紙屋研究所の紙屋さんが面白いことを書いていた。紙屋さんは、男性を自分の好みに育て上げるすすめを綴っているという、女性向けエッセイ本を評している。そして、育てる対象に適しているのは、若い男性サヨクだと…

名香智子「パートナー」

上記の展示を観た後、マンガミュージアムをうろうろ。やばい。ここは、漫画好きには魔窟です。ほんのちょっとだけ、読んで帰ろうと思って手を伸ばすと、結局、閉館時間まで読んでしまいました。これ↓パートナー (1) (小学館文庫)作者: 名香智子出版社/メーカ…

「明治日本のギャグマスター 暁斎漫画展」

「京都国際マンガミュージアム特別展 明治日本のギャグマスター 暁斎漫画展」に行ってきた。マンガミュージアムは初めて。混んでいるとの噂だったけれど、さすがに平日の夕方はガラガラだった。 展示は、そんなに広くなり展覧室をぐるっとまわるかたち。錦絵…

唐組「夕坂童子」

2008年4月26日に、大阪精華小学校で、唐組「夕坂童子」を観て来た。演劇に行くというより、唐組にいく。廃校のグラウンドに赤く薄汚れたテントが劇団員によって張られる。制服姿の女子高生から60代の年配夫婦、一人からグループまで、思い思いの格好で集まっ…

死刑判決の妥当性ではなく

光市母子強姦殺人事件の被告に、死刑判決が下った。上告するようだが、予想通りはてな村では、たくさんの記事が書かれている。私は、前の記事の文脈もあって、この件については、時間をかけて考えようと思っている。 たとえば、素朴に率直にこのような気持ち…

「靖国」

映画「靖国」の公開をめぐる問題は、私はほとんど追えていないので、何が起きたのかよくわからない。能天気に「いやあ、上映中止に追い込まれるなんて、ハクがついてよかったじゃん」とか思っていた。反体制は芸術の王道ではないですか。*1 なにはともあれ、…

第1回京都トランスジェンダー映画祭

こちらも京都での映画祭です。 第1回京都トランスジェンダー映画祭 京都大学 正直に生きたい!素直でいたい!表現したい!「私たち/ボクたち」はここにいる! トランスジェンダーの映画ばかりを集めて上映する、日本国内では初開催のトランスジェンダー映画…

イメージフォーラム・フェスティバル2008

映像アートの上映会があるようです。 映像アートの祭典「イメージフォーラム・フェスティバル2008」が4月27日より開幕。 実験、記録、デジタル・イメージ、アニメーション、ドキュメンタリーなど あらゆるジャンルの最新映像を紹介。 東京、京都、福岡、名古…

信田さんにコメントもらいました。

先日書いた信田さよ子「加害者は変われるか?」の感想について、信田さんがご自身のブログでコメントくださっています。 「加害者・・」について、某ブログで絶賛されているのを読んだ。 非常に正確に私の意図を読み取っており、ここ10年来の私の本の論調・テ…

小林美佳「性犯罪被害にあうということ」

上の記事を踏まえたうえで、書く。4月30日付で以下の書籍が刊行された。性犯罪被害にあうということ作者: 小林美佳出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2008/04/22メディア: 単行本購入: 25人 クリック: 1,765回この商品を含むブログ (55件) を見るワイド…

被害者と政治

明日、光市母子強姦殺人事件の判決が下る。この事件の裁判は、日本の被害者運動史のメルクマールとなるだろう。運動を牽引してきたのは、「全国被害者の会(あすの会)」である。2007年6月に成立した法律(被害者参加制度を盛り込んだもの)の試案作成に関与…

信田さよ子「加害者は変われるか――DVと虐待をみつめながら」

加害者は変われるか?―DVと虐待をみつめながら作者: 信田さよ子出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/03メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 71回この商品を含むブログ (22件) を見る 3月末に出た新刊である。現時点で、私は「この本は、日本における被害…

若松孝二『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』

久しぶりに映画館*1に足を運んだ。この数年、1960年代の回顧録や、団塊世代の自叙伝の発行が増えている。ひしひしと、この時代に青春を送った人たちの「語り残さねばならぬ」という気持ちが伝わってくる。一連の若者たちの革命運動へのコミットの中で、たく…

すが秀実+花咲政之輔「3・29ネグリ・イヴェントについての見解(コピー・レフト)」

id:seijotcpさん経由で、すがさんと花咲さんによる、ネグリ講演会(東京大学)への批判を読んだ。 ネグリはどこに行ったか? ――3・29東大ネグリ講演会におけるわれわれの行動と姜尚中らへの批判 付・4・1早大入学式での学友不当逮捕に抗議する花咲政之…

橋下知事は被害者を見捨てるつもりなのか?

大阪府立女性総合センター(ドーンセンター)の、運営団体「大阪府男女共同参画推進財団」を廃止する案が提出された。財政上の理由で、人件費や運営のあり方が問題視されている。要するに、赤字なのだ。 しかし、当たり前である。現在の日本の社会では、民営…

「すてっぷ」新館長就任について

以前も記事に書いたように、「とよなか男女共同参画推進センター すてっぷ 館長 兼 事務局長」に就任した中村彰さんのブログが、一部で話題になっている。中村さんは、ブログに一度、就任についての記事を書いたが、批判が寄せられた後に削除している。 一方…

質的心理学はなにをめざすか――『質的心理学講座』(全三巻)の発刊にあたって」

『UP』3月号に、座談会「質的心理学はなにをめざすか」*1が掲載されている。座談会では、2002年に雑誌『質的心理学研究』をスタートし、2004年に「日本質的心理学会」を設立した中心メンバーが語っている。 私は『質的心理学研究』に掲載されている論文を何…

デリダのパレルゴン論2

前回の続き。絵画における真理〈上〉 (叢書・ウニベルシタス)作者: ジャックデリダ,Jacques Derrida,高橋允昭,阿部宏慈出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 1997/12メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 12回この商品を含むブログ (11件) を見る予想以上…

削除はやめとけ

今日の日経新聞夕刊に、インターネットに関する記事が載っていた。先日の、福岡で小学生がインターネット掲示板に「殺害予告」を書き込んだ事件に関するものだ。小見出しには「書き込みは削除困難」というものもある。以下、記事より抜粋。 福岡県警によると…

死について

ちょっと恥ずかしいので閉じておきます

デリダのパレルゴン論

ジャック・デリダのパレルゴン論を読み始めた。絵画における真理〈上〉 (叢書・ウニベルシタス)作者: ジャックデリダ,Jacques Derrida,高橋允昭,阿部宏慈出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 1997/12メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 12回この商品を…