「ゆれる」と「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」

 連休中に「ゆれる」を観た。

ゆれる [DVD]

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偶然、同じ日にid:ohnosakikoさんが観ていて、レビューを書いている。

兄弟の葛藤、姉妹の対決 - その1
兄弟の葛藤、姉妹の対決 - その2

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」との面白い比較だったので、私も今日借りてきて、比較してみることにした。

 「ゆれる」は男兄弟の葛藤を描いたもので、重めの心理劇。母親が死んで、田舎に弟が帰省してきたことで、殺人が起き、ミステリー仕立てのドラマが始まる。スリリングな展開で面白かったが、どこかBL臭い。実際に、男兄弟のいる同居人と観たのだが、「ちょっと美化されてるな〜」とのコメントをもらった。先日から話題になっている、田舎出身であることについてのエントリなどと合わせて観るとおもしろいかもしれない。

「田舎の人は循環する時間という「宗教」を信仰している」

 「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」は、女姉妹の葛藤を描いたもので、コミカルな現代劇。両親が死んだことで、田舎に姉が帰省してきたことで、家族関係がこじれていくドラマが始まる。私はこちらはすぐに飽きてしまった。序盤で、展開がオチまで読めてしまったのである。また、致命的なのは、家族を振り回す根性悪の姉を演じた、佐藤絵梨子のいい人オーラである。一生懸命がんばってる様子が透けて見える。私はこの人のマンガっぽい造形は好きなのだけどな。善玉役の永作博美のほうが、よっぽど不穏な空気を醸し出している。
 原作者の本谷有希子は、小劇場系の劇団主宰者。「リアル」な女の狂気を描く作家として人気である。二年前に「クワイエットルームにようこそ」の記事を書いた時も思ったけれど、私はこういうはた迷惑な困った女を描く作風が苦手だ。いつも心の中で、「もしかすると、私の方が根性悪いかも……」と気が滅入る。*1もしかすると「これって私」というふうに共感する女性ファンが多いのかもしれない。

*1:特に、妹のやったことと、私がブログに書いてることって似たようなもんでは?へたすりゃ私の方が根性悪いことやってるかも。