修復的司法を紹介する動画
修復的司法を紹介する英語の動画はたくさんインターネットに掲載されています*1。心に残ったのは、「家族会議」(family group conference)を、「子どもの視点から」と「母親の視点から」の二本立てて紹介してるアニメーションです。(英語ですが、アニメーションだけでも雰囲気は伝わるかもしれません)
まず、一本目は「子どもの視点から」。お母さんが精神的にアップダウンのある病気で、困っている女の子。児童福祉の係の人が、「家族会議」をすることを提案します。
https://www.youtube.com/watch?v=P8Zc8QiJV7Y
次に二本目は「母親の視点から」。精神的な病気で困っているのだけれど、子どもを奪われるのではないかと怖がっているお母さん。こちらも「家族会議」をしました。
https://www.youtube.com/watch?v=YEDg0FPqGZc
両方に共通しているのは以下です。
(1)お母さんが精神的な病気である
(2)児童福祉の係の人が最初に事情を丁寧に聞き取る。
(3)同意を得てから、「家族会議」の係の人にバトンタッチする。
どちらも激しい児童虐待の描写はなく、いわゆる「犯罪」のストーリーにはなっていません。ここでは、修復的司法の手法を子どもと保護者の間の関係の調整として用いています。
養育環境が厳しい中でも保護者と離れたくない子どももいますし、「分離」に至るほど激しい暴力がなくても困っている子どもはいます。また保護者の側も、助けを親族や友人に求めたくても、これまでの人間関係トラブルの積み重ねが響き、うまく頼めないことがあります。そうした場合に第三者(支援職)が、「家族会議」の手法で介入できる可能性を、このアニメーションはうまく示しているかな、と思います。
これまで、こうした窮地に陥った保護者や子どもは、児童相談所が一手に問題解決を引き受けてきました。しかし、昨今の報道でもあるように、児童相談所は過重な責任と業務を担い、パンク状態にあります。こうした家族間調整を、修復的司法を行う別団体にバトンタッチすることで、児童相談所の負担も減らせるように思います*2。
また、「家族会議」が実際に行われている動画もアップされています。私はこのスピードになるとあまり聞き取れないのですが、薬物の問題を抱える事例のようです。かなり厳しい雰囲気の話し合いになったようです。
https://www.youtube.com/watch?v=aB4ON_6m95Q
修復的司法で大事なのは、会を開いた後のフォローアップです。その様子もアップされています。
https://www.youtube.com/watch?v=8ZuMq1TnRbU
修復的司法の別のプログラム、被害者と加害者が正面から対話をする「被害者・加害者調停」(victim-offender mediation)の動画もありました。こちらは、「被害者・加害者調停」のメディエーター(司会をする人)育成で有名なマーク・アンブライトのもの。
https://www.youtube.com/watch?v=IC2aBPISDno
沈鬱な対話になっています。
アンブライトの支援者向けのハンドブックは翻訳されています。
- 作者: マーク・S.アンブライト,Mark S. Umbreit,藤岡淳子
- 出版社/メーカー: 誠信書房
- 発売日: 2007/09/01
- メディア: 単行本
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