男性から男性へ語ること

ナインティナインの岡村隆史さんの発言が大炎上している。岡村さんは2020年4月27日のラジオ番組の「オールナイトニッポン」で以下のように発言した。 苦しい状態がずっと続きますから、コロナ明けたら、なかなかのかわいい人が短期間ですけれども、美人さん…

近況

2020年4月1日より、学術振興会特別研究員(PD)に採用されました。受け入れ機関は関西大学です。3年間の任期ですので、できる限り、研究成果をあげられるよう努めたいと思います。 2020年9月からは欧州での在外研究の予定で、受け入れ先も決まっています。し…

話さなくていい、声を上げなくていい

大学や専門学校で講師を務めるようになり、授業では次の2点を伝えるようになった。 「話さなくていい」「嘘をついてもいい」 私が教えている学生のほとんどは、20歳前後で若い。かれらの多くは、こちらが思っているよりも素朴で純粋で、「嘘をつきたくない」…

「小さな組織」を作る

私の良さは少人数の組織の方が発揮される。理由は明白で、私は個別・具体的な人間関係のなかで、思想的な議論を深めていくのが得意だからだ。個人的な経験を掘り下げて、そこから得られる強烈な「確信」のようなものを、少人数の関係の中で分かち合い、言葉…

ネット上のフェミニズムについて

思わぬ形で炎上してしまったので、何度かこれまで書いてきたネット上のフェミニズムについて、アップデート版をメモがわりに書いておく。 私はネット上のフェミニズムを切り離さない。 ネット上で一部のフェミニストが「ツイフェミ」「ネットフェミ」「ミサ…

あけましておめでとうございます。

昨年*1は、ありがたいことに、自著の初刷が完売*2しました。現在、出版社でも在庫切れになっています。誤記・誤訳の修正*3が終わり次第、増刷していただけることになっております。ご迷惑をおかけしますが、もうしばらくお待ちください。 性暴力と修復的司法…

あけましておめでとうございます。

昨年*1は、ありがたいことに、自著の初刷が完売*2しました。現在、出版社でも在庫切れになっています。誤記・誤訳の修正*3が終わり次第、増刷していただけることになっております。ご迷惑をおかけしますが、もうしばらくお待ちください。 性暴力と修復的司法…

大学に行かずにフェミニズムを学ぶ方法

すっかりインターネットでもフェミニズムがお馴染みになり、「いったいフェミニズムとはなんなのか?」「どうやって勉強すればいいのか?」と聞かれることが増えた。「フェミニストがちゃんと説明しろ」という声もある。そんななかで、大学でジェンダー学*1…

環境倫理・思想に関する本

本当なら一冊ずつ紹介したい本だが、とりあえず忘れないように羅列しておく。 いのちへの礼儀 (単行本) 作者: 生田武志 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2019/03/01 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 自主講座「 公害原論」…

パロディ問題について

【この記事の末尾に重要な追記があります。そこまで併せてお読みください(2019/7/17)】【さらに末尾に追記をしました(2019/8/4)】 少女漫画雑誌「花とゆめ」14号に掲載された、ある読み切り作品について議論が起きている。この作品は、新人漫画家A氏が編集者…

自著への書評・レビューをいただきました。

このたび、品川哲彦先生より拙著『性暴力と修復的司法』に書評をいただきました。関西倫理学会編『倫理学研究』第49号(2019年)に掲載されております。 性暴力と修復的司法 (RJ叢書10) 作者: 小松原織香 出版社/メーカー: 成文堂 発売日: 2017/11/12 メディ…

恋愛・結婚しないのは「権利の行使」なのか?

シロクマ(id:p_shirokuma)さんの以下のような記事がネット上で話題になっている。 「恋愛も結婚もしなくなった日本は未曾有の先進国」 https://p-shirokuma.hatenadiary.com/entry/20190624/1561360692 シロクマさんによれば、日本で男女が結婚・恋愛をしな…

「男」に「男」は救えるか?

ここのところ、はてなの匿名ダイアリーで、(シスヘテロの)男性と男性の関係についての、男性の書き手による記事が次々と公開されて、ブックマークを集めている。 これまでネット上では「弱者男性」を名乗る人たちが、(経済力のある)女性は(経済力のない…

フェミニストとしてトランス差別・排除に反対します。

フェミニストとしてトランス差別・排除に反対します。それについて以下で述べます。 ここでいう「トランス」とは、「性別を越境する」ことを指します。私たちの社会では、性別は「男性」と「女性」に分けられています。近年は「性同一性障害(GID)」という言…

日大アメフト部悪質タックル事件について

2018年5月に起きた日大アメフト部悪質タックル事件について、警視庁が前監督と元コーチの嫌疑はないものと判断した。 警視庁「選手が前監督らの指導を誤認」日大悪質タックル 警視庁「選手が前監督らの指導を誤認」日大悪質タックル:朝日新聞デジタル この…

西尾学術奨励賞の受賞と授賞式

拙著『性暴力と修復的司法』がジェンダー法学会の西尾学術奨励賞を受賞いたしました。性暴力と修復的司法 (RJ叢書10)作者: 小松原織香出版社/メーカー: 成文堂発売日: 2017/11/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る 西尾学術奨励賞は以下に…

江口聡氏から自著へご指摘をいただきました。

京都女子大学教授の江口聡氏が、自著で引用しました英語論文等の誤訳について、以下のご指摘くださっています。ここに挙げられている英語文献を日本で読んでいるのは、現時点ではおそらく私と江口さんだけです。大変な労力の元に、拙著にご指摘いただいてい…

性暴力・DV被害の実態調査の記事の追記

先日、公開した性暴力・DV被害の実態調査について書いた記事が、予想以上にアクセスを集めてしまいました。該当記事は以下です。 「日本社会における「女性に対する暴力」は少ないのか?」 http://d.hatena.ne.jp/font-da/20181028/1540696942 私の記事はこ…

日本社会における「女性に対する暴力」は少ないのか?

追記: 以下のサイトで最初は「ジェンダー社会学者」という肩書きになっていたのですが、「フェミニスト」にご変更いただきました。 日本では女性への暴力は少ないと言う調査結果に困惑するフェミニスト http://www.anlyznews.com/2018/10/blog-post_29.html …

ネットで嘲笑すること/されること

web

ある事件が起きて、ネット上でどのように振る舞うのかが話題に上がっている。特に、相手を「嘲笑すること/されること」がクローズアップされている。 「古来からのネット作法に総括を迫られているのかもしれない」 http://zaikabou.hatenablog.com/entry/201…

原一男監督「ニッポン国VS泉南石綿村」

原一男監督「ニッポン国VS泉南石綿村」を試写で観た。 泉南地域はかつて石綿紡績業が盛んだった。石綿(アスベスト)は断熱材、防火財、機械の摩擦防止のためにあちこちで使われ、日本の経済成長を支えた天然鉱物である。しかしながら2005年の「クボタショッ…

平鳥コウ「JKハルは異世界で娼婦になった」

JKハルは異世界で娼婦になった作者: 平鳥コウ,shimano出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/12/06メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (2件) を見る この小説は「異世界」で性暴力と闘う女の子たちの物語だ。そして、「この世界」で性暴…

あけましておめでとうございます。

昨年は、初めての単著『性暴力と修復的司法』を出版できました。メールやTwitterなどで反響をいただいて、ありがたい限りです。性暴力と修復的司法 (RJ叢書10)作者: 小松原織香出版社/メーカー: 成文堂発売日: 2017/11/12メディア: 単行本この商品を含むブロ…

性暴力被害者の告発をどう受け止めるのか?

この記事は三部構成になっています。関心に即してお読みください。 (1)はあちゅうさんの性暴力の告発 (2)はあちゅうさんに対する批判 (3)告発した被害者と支援者はどのような状況に置かれるか (1) はあちゅうさんの性暴力の告発 いま、インターネット上で性…

小松原織香『性暴力と修復的司法』

このたび成文堂から『性暴力と修復的司法』を出版することになりました。アマゾンで予約が開始されましたので、お知らせいたします。性暴力と修復的司法 (RJ叢書10)作者: 小松原織香出版社/メーカー: 成文堂発売日: 2017/11/12メディア: 単行本この商品を含…

マンガ作品の表現規制について

私はマンガ作品が人間の価値観に影響を与える可能性を拝しない。価値観は社会的に構成される部分が大きいので、社会に流通するマンガ作品もその一部として機能しているだろう。私たちの性/性役割についてについても、マンガ作品が差別を深めたり、差別に抵抗…

ザ・ノンフィクション「会社と家族にサヨナラ 〜ニートの光の幸せ〜」

日本で一番有名なニートことid:phaさんを中心に運営している「ギークハウス」が、テレビ番組「ザ・ノンフィクション」に取り上げられた。 「ザ・ノンフィクション後編は25日放映です」 http://pha.hateblo.jp/archive/2017/06/24 ギークハウスは、30代前後の…

警察官が被害者に「処女ですか?」と聞く必要はない

インターネット上で、警察官が性暴力被害者に「処女ですか?」と聞くのは、「処女の被害であれば強姦致傷になるからだ」という流言が飛び交っている。警察のセクシュアルハラスメント行為を正当化する言説であるので、訂正を求めたい。 以下で(1)「強姦」と…

「成人向け同人小説」を研究対象にする場合の問題について【追記あり】

id:lisagasuさんからブクマコメ*1でコールをいただいていたので、「成人向け同人小説」を研究対象にする場合の問題について、簡単に私の意見を述べる。これは、人工知能学会に掲載された論文において、「成人向け同人小説」を作者に無断で分析対象にし、その…

小森はるか「息の跡」

この映画は2013年から2016年の陸前高田を撮影したドキュメンタリーである。陸前高田は津波の甚大な被害を受けた。多くの人が家族や大事な人を亡くし、住むところを失くした。その被害のあとすぐに、国道沿いにある「たね屋」が再建した。「たね屋」の佐藤さ…