仲正昌樹『統一教会と私』

あるオンライン署名活動*1をきっかけに、統一教会が話題になっている。 私は、統一教会はカルトであり、入会を希望しない限りは決して近づかないほうがいい団体だと考えている。ただし、悪魔化するものよくないと思い、たしか仲正昌樹氏が自分の入信体験を本…

ミラノ日本人学校の中学生と水俣

ミラノ日本人学校の中学生の、オンライン報告会があったので、許可をいただき視聴するチャンスに恵まれました。ミラノはコロナ渦で厳しい状況におかれた街です。中学生たちも帰国やオンライン授業など、大変な思いをしながら今日まで生活してきたそうです。…

オンライン対談「グリーフケアと修復的正義」に登壇します

2021年10月8日に、宗教学者の島薗進氏との対談の企画がオンラインで開催されます。テーマは「グリーフケアと修復的正義」です。水俣や修復的正義について、研究内容はもちろん、今回は個人的な経験や考えてきたこともお話ししようと思っています。対談後は交…

近況

今年のベルギーは、直近の200年で一番雨が多いとも言われるという悪天候続きでした。何度も水害が多発し、夏なのに雨が多く、太陽が恋しい夏でした。そうはいうものの、ベルギー国内の各都市を訪問して、楽しい時間を過ごしました。 ベルギーはワクチン接種…

「行政機能」と「地方自治」と「個人の権利」

インターネットではときどき、地域の「町内会」が話題になる。日本は現在、少子高齢化が進んでいるので、町内会の役員の担い手も減り、若者は参加に消極的になりつつある。また、高齢者が町内会を占有しているという批判もある。次のツイートのまとめは興味…

課金で劣等感を解決した話

勝間和代さんが、コンプレックス商法について記事を書いている。これは、人々の英会話や身体的特徴の劣等感につけこみ、高額を支払わせるセミナーを批判したものである。勝間さんは記事の中にある動画で、もっと安く1000円くらいから利用できるサービスを何…

伊丹アイホール存続をめぐる議論

毎日新聞で、関西の小劇場であるアイホール(伊丹市)の用途転換が検討されていることが報道されました。アイホールは、小規模劇団のアート活動に貢献してきただけではなく、一般市民とともに活動するワークショップにも力を入れてきた。こうした幅広い活動…

山花郁夫議員による修復的司法再検討の提言

衆議院の山花郁夫議員(立憲民主党)が、国会で修復的司法を再検討する提言をしていたことを知った*1。犯罪被害者基本法を議論していた時代に触れながら、以下のように発言している*2。 あの当時は被害者側の視点というのがあらゆる制度の中で欠けているとこ…

水俣の絵はがき

「水俣病を語り継ぐ会」が、水俣の写真を使った絵はがきを製作されています。現在の水俣の風景があり、そこで生きているものたちの息吹を伝えています。とても美しいです。絵葉書は10枚セットで1000円だそうです。なんと送料は無料!以下のサイトの左のカラ…

藤本タツキ「ルックバック」

昨日、ジャンププラスで公開された藤本タツキ「ルックバック」が大きな話題を呼んでいる。作品は無料で読めるし、英語版も同時に公開された。(日本国内からは英語版はアクセスできないようだ) shonenjumpplus.com この作品では、藤野と京本という二人の女…

「加害者であった」「被害者であった」からできること

永井陽右さんのインタビュー記事を読んだ。5年前に収録されたものではあるが*1、ご本人のキャラクターや明るい語り口が全5回にわたって記録されており、よく伝わる記事だった。 next.rikunabi.com 永井さんは、高校生の時にツバルの記事を読んだことで、もの…

近況

先日、ベルギーも含めた低地地方で大規模な洪水が起きたため、知人・友人から安否を気遣うメールをいただきました。幸い、私の住んでいる地域は目立った被害はなく、今日は空も晴れており、いつもどおりの生活を続けています。 大雨が降った時期は、私はちょ…

非営利のはてな村とロスジェネの遺産

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ずるずると終わらない「はてな村論」ですが、お金の話が出てきて、だいたいの結論は出たと思います。こちらの話の通り、はてなに記事を書いても儲からない。一時期は、商業誌ライターへの登竜門であったこともありましたが、今はnoteのほうが優勢でしょう。…

ブログを書くことの不思議さ

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Twitterのスペースで行われた、はてな村についてのトークイベントを聞いていました。 ta-nishi.hatenablog.com みなさん、お話が上手なので楽しく聴きました*1。個人的には白熊( id:p_shirokuma さん)の話が面白かったです。ちょっとイメージ変わりました。…

近況

6月の地獄のようなスケジュールをなんとか乗り越える見込みが出てきました。まだ気を抜いてはならないのですが、学会報告3本と英語論文、日本語論文1本ずつをなんとかクリアできそうです。日本語では、珍しく刑事司法制度に焦点をあてて、英語圏で展開されて…

はてなの黄昏と「キリンちゃん」という架空の人格

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ここのところ、はてなの衰退の話が出ています。 orangestar.hatenadiary.jp p-shirokuma.hatenadiary.com orangestar.hatenadiary.jp pha.hateblo.jp はてなから人がいなくなっているのは間違いないだろうと思います。最近ではたくさんブックマークがついて…

オンライン・ワークショップ「自然とはなにか?」へのお誘い

このたび、環境哲学の研究者 Laÿna Drozさんと、オンライン・ワークショップを開催することになりました。テーマは、東アジアまたは南アジアにおける「自然とはなにか?」です。 私たちは2019年に「Network of Asian Environmental Philosophy」を立ち上げま…

近況

気がつくと6月に入ってしまいました。ベルギーでの在外研究はようやく軌道に乗ってきたところです。今月はオンラインでのプレゼンテーションが3本と、論文の締め切りが2本あるという地獄のようなスケジュールで、ここ数週間は毎日、原稿と向かい合っています…

近況

4月の初頭から、ベルギーに滞在しています。かねてより計画していたルーヴェン・カソリック大学での研究をスタートさせました。現在、ベルギーはロックダウンを段階的に解除している状態です。カフェ・レストランは閉まっており、自宅待機を要請されています…

萩尾望都「一度きりの大泉の話」

一度きりの大泉の話 作者:萩尾望都 発売日: 2021/04/21 メディア: Kindle版 萩尾望都による、新人漫画家時代の回想録ではあるが、一番のハイライトは同居していた漫画家の竹宮惠子や増山法恵らとの関係を告白的に述べている部分にある。増山の提起する「少年…

近況

ベルギーへ出立する日が近づいていますが、依然として先行きが不透明で気を揉んでいます。もう飛行機のチケットは確定していますし、海外転出届も出しているのですが、出国前のPCR検査で陽性になってしまえば渡航延期になるという、不安な状況です。 他方、…

「些細である」からこそ大事なセクハラの話

セクシュアル・ハラスメントという言葉は、1989年に福岡地裁で始まった訴訟(通称:福岡セクハラ訴訟)をきっかけに、広く知られるようになった。この裁判で弁護団は、福岡の小規模の出版社に勤務する女性が、性的な中傷を受けたことを、性差別によるもので…

さよなら、エヴァンゲリオン

「シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇」を観てきた。うっかり泣いてしまった。感傷のままに綴っておく。(以下は、ネタバレがあるので閲覧注意) 公開2日目に観てしまった。こんなことをするのは、1997年に公開された劇場版「Air」を観に行ったとき以来だ。私は…

近況

ようやく労働許可・滞在許可が下りたので、ビザが取れました。2021年4月から、ベルギーのルーヴァン・カトリック大学法学部で修復的正義の在外研究を行う予定です。とにかく情勢が不安定ですので、フライトスケジュールの変更のメールが次々と届く状況で「本…

『環境と対話』第二号を発行いたしました。

私は「環境と対話」研究会という小さなグループの代表を務めているのですが、このたび報告集である、『環境と対話』第二号を発行いたしました。今回は100ページほどの小冊子となっており、水俣についてのインタビュー調査や英語文献史料の紹介、動物倫理に関…

近況

本来ならば9月からはベルギーで在外研究を行う予定でしたが、ビザの問題などもあり、2021年4月に延期になりました。COVID19の影響や学振制度との兼ね合いなどで、しばらくの間はかなり消耗しながら、大使館や受け入れ大学と連絡をとっていました。私は10年以…

WANのトランス差別を含む文章掲載について

WAN(Women's Action Network)に、石上卯乃氏によるトランス差別を含む文章が掲載された件で、ここのところネットで議論になっていました。ふぇみ・ぜみ×トランスライツ勉強会は、WANに対して公開質問状を出し、以下のことを指摘しています。 石上氏による当…

「1945ひろしまタイムライン」の問題について

NHK広島放送局が企画し、現在も進行中の「1945ひろしまタイムライン」に対する批判が噴出しています。この企画は「75年前のひろしまにSNSがあったら」という仮想のもと、Twitterで現在の日時に合わせて3人の(架空の)人物のツイートが流されているものです…

「劇場が閉じた」ことの意味

新型コロナウイルスの影響で次々と劇場が閉じていく。それに対して、演出家の野田秀樹は「ひとたび劇場を閉鎖した場合、再開が困難になるおそれがあり、それは「演劇の死」を意味しかねません」と訴える文章を発表した。 「野田秀樹さん『劇場閉鎖は演劇の死…

「演劇」と「労働」

ここのところ、演劇の話題が続いている。演劇人が新型コロナウイルスの影響で公演や稽古を中止せざるを得ず、経済的影響が劇場、劇団、舞台の技術スタッフ等多岐にわたり大きいため、支援を訴えているのである。野田秀樹、鴻上尚史、横内謙介といった著名な…