菅孝行「〈事実〉か〈情緒〉かが問われる (水俣曼荼羅/MINAMATA)」(『映画芸術』第477号)

『映画芸術』に菅孝行の映画評「〈事実〉か〈情緒〉かが問われる (水俣曼荼羅/MINAMATA)」が掲載されていると知り、取り寄せて読んだ。この評では2020年に公開された2本の水俣についての映画を比較している。1本は原一男監督のドキュメンタリー作品「水俣曼…

近況

欧州では再びCOVID19の感染状況がよくなく、12月のホリデーで移動する人が多いなか、「どうなるんだろうか」と多くの人が不安に思うような状況です。新たな変異株についての情報も出ており、手強いなあと思っています。 私は秋に新しい英語論文を書いて、も…

伊勢俊彦「歴史的不正義からの回復 いかにして被害は語りうるものになるか」

『唯物論と現代』に掲載された論文「歴史的不正義からの回復 いかにして被害は語りうるものになるか」を著者よりご恵投いただきました。ありがとうございました。 ヘーゲル、ベートーヴェン生誕250年、エンゲルス生誕200年 (唯物論と現代64) 作者:関西唯物論…

近況

ベルギーはすっかり秋が深まってきて、空は雲りがちで、朝夕の冷え込みが厳しくなってきました。これから欧州の長い冬が続くので、少し憂鬱にはなります。ベルギーのコロナの感染者は増加しており、マスクの着用義務は強化されました。3回目のワクチン接種も…

近況

ベルギーの大学は対面授業を再開し、私の住むフランドル地方では*1屋内でのマスク着用義務もなくなったので、平常の生活が戻りつつあります。9月から学校も再開され、規制が弱まってきているのですが、感染者数も大きく増えることはありませんでした。ワクチ…

アライダ・アスマン『想起の文化 忘却から対話へ』

アライダ・アスマン『想起の文化 忘却から対話へ』を読んだ。「歴史学の営み」と「記憶の継承」の政治的・社会的交錯を丁寧にときほぐし、未来へ向けて私たちのなすべき態度を示そうとした、挑戦的でスリリングな本だった。 想起の文化: 忘却から対話へ 作者…

「知りたい」けど、そこまで「知りたくない」?

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id:tyoshikiさんとのやり取りで、ちょっとした発見があったのでメモしておきます。tyoshikiさんは、ネット上で統一教会に対する恐怖心を煽る人はたくさんいるが、自分としてはよく知らないのでわからないと言います。そして、もっと情報発信すべきだと言いま…

近況(映画MINAMATAなど)

今回の近況は水俣についてあれこれをまとめて書いています。 ついに日本では映画「MINAMATA」が公開されたようです。海外向けの予告編に字幕がついたものがありましたが、私はこちらの方が国内向けの予告編より好みです。残念ながら、私はベルギーにいるため…

仲正昌樹『統一教会と私』

あるオンライン署名活動*1をきっかけに、統一教会が話題になっている。 私は、統一教会はカルトであり、入会を希望しない限りは決して近づかないほうがいい団体だと考えている。ただし、悪魔化するものよくないと思い、たしか仲正昌樹氏が自分の入信体験を本…

ミラノ日本人学校の中学生と水俣

ミラノ日本人学校の中学生の、オンライン報告会があったので、許可をいただき視聴するチャンスに恵まれました。ミラノはコロナ渦で厳しい状況におかれた街です。中学生たちも帰国やオンライン授業など、大変な思いをしながら今日まで生活してきたそうです。…

オンライン対談「グリーフケアと修復的正義」に登壇します

2021年10月8日に、宗教学者の島薗進氏との対談の企画がオンラインで開催されます。テーマは「グリーフケアと修復的正義」です。水俣や修復的正義について、研究内容はもちろん、今回は個人的な経験や考えてきたこともお話ししようと思っています。対談後は交…

近況

今年のベルギーは、直近の200年で一番雨が多いとも言われるという悪天候続きでした。何度も水害が多発し、夏なのに雨が多く、太陽が恋しい夏でした。そうはいうものの、ベルギー国内の各都市を訪問して、楽しい時間を過ごしました。 ベルギーはワクチン接種…

「行政機能」と「地方自治」と「個人の権利」

インターネットではときどき、地域の「町内会」が話題になる。日本は現在、少子高齢化が進んでいるので、町内会の役員の担い手も減り、若者は参加に消極的になりつつある。また、高齢者が町内会を占有しているという批判もある。次のツイートのまとめは興味…

課金で劣等感を解決した話

勝間和代さんが、コンプレックス商法について記事を書いている。これは、人々の英会話や身体的特徴の劣等感につけこみ、高額を支払わせるセミナーを批判したものである。勝間さんは記事の中にある動画で、もっと安く1000円くらいから利用できるサービスを何…

伊丹アイホール存続をめぐる議論

毎日新聞で、関西の小劇場であるアイホール(伊丹市)の用途転換が検討されていることが報道されました。アイホールは、小規模劇団のアート活動に貢献してきただけではなく、一般市民とともに活動するワークショップにも力を入れてきた。こうした幅広い活動…

山花郁夫議員による修復的司法再検討の提言

衆議院の山花郁夫議員(立憲民主党)が、国会で修復的司法を再検討する提言をしていたことを知った*1。犯罪被害者基本法を議論していた時代に触れながら、以下のように発言している*2。 あの当時は被害者側の視点というのがあらゆる制度の中で欠けているとこ…

水俣の絵はがき

「水俣病を語り継ぐ会」が、水俣の写真を使った絵はがきを製作されています。現在の水俣の風景があり、そこで生きているものたちの息吹を伝えています。とても美しいです。絵葉書は10枚セットで1000円だそうです。なんと送料は無料!以下のサイトの左のカラ…

藤本タツキ「ルックバック」

昨日、ジャンププラスで公開された藤本タツキ「ルックバック」が大きな話題を呼んでいる。作品は無料で読めるし、英語版も同時に公開された。(日本国内からは英語版はアクセスできないようだ) shonenjumpplus.com この作品では、藤野と京本という二人の女…

「加害者であった」「被害者であった」からできること

永井陽右さんのインタビュー記事を読んだ。5年前に収録されたものではあるが*1、ご本人のキャラクターや明るい語り口が全5回にわたって記録されており、よく伝わる記事だった。 next.rikunabi.com 永井さんは、高校生の時にツバルの記事を読んだことで、もの…

近況

先日、ベルギーも含めた低地地方で大規模な洪水が起きたため、知人・友人から安否を気遣うメールをいただきました。幸い、私の住んでいる地域は目立った被害はなく、今日は空も晴れており、いつもどおりの生活を続けています。 大雨が降った時期は、私はちょ…

非営利のはてな村とロスジェネの遺産

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ずるずると終わらない「はてな村論」ですが、お金の話が出てきて、だいたいの結論は出たと思います。こちらの話の通り、はてなに記事を書いても儲からない。一時期は、商業誌ライターへの登竜門であったこともありましたが、今はnoteのほうが優勢でしょう。…

ブログを書くことの不思議さ

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Twitterのスペースで行われた、はてな村についてのトークイベントを聞いていました。 ta-nishi.hatenablog.com みなさん、お話が上手なので楽しく聴きました*1。個人的には白熊( id:p_shirokuma さん)の話が面白かったです。ちょっとイメージ変わりました。…

近況

6月の地獄のようなスケジュールをなんとか乗り越える見込みが出てきました。まだ気を抜いてはならないのですが、学会報告3本と英語論文、日本語論文1本ずつをなんとかクリアできそうです。日本語では、珍しく刑事司法制度に焦点をあてて、英語圏で展開されて…

はてなの黄昏と「キリンちゃん」という架空の人格

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ここのところ、はてなの衰退の話が出ています。 orangestar.hatenadiary.jp p-shirokuma.hatenadiary.com orangestar.hatenadiary.jp pha.hateblo.jp はてなから人がいなくなっているのは間違いないだろうと思います。最近ではたくさんブックマークがついて…

オンライン・ワークショップ「自然とはなにか?」へのお誘い

このたび、環境哲学の研究者 Laÿna Drozさんと、オンライン・ワークショップを開催することになりました。テーマは、東アジアまたは南アジアにおける「自然とはなにか?」です。 私たちは2019年に「Network of Asian Environmental Philosophy」を立ち上げま…

近況

気がつくと6月に入ってしまいました。ベルギーでの在外研究はようやく軌道に乗ってきたところです。今月はオンラインでのプレゼンテーションが3本と、論文の締め切りが2本あるという地獄のようなスケジュールで、ここ数週間は毎日、原稿と向かい合っています…

近況

4月の初頭から、ベルギーに滞在しています。かねてより計画していたルーヴェン・カソリック大学での研究をスタートさせました。現在、ベルギーはロックダウンを段階的に解除している状態です。カフェ・レストランは閉まっており、自宅待機を要請されています…

萩尾望都「一度きりの大泉の話」

一度きりの大泉の話 作者:萩尾望都 発売日: 2021/04/21 メディア: Kindle版 萩尾望都による、新人漫画家時代の回想録ではあるが、一番のハイライトは同居していた漫画家の竹宮惠子や増山法恵らとの関係を告白的に述べている部分にある。増山の提起する「少年…

近況

ベルギーへ出立する日が近づいていますが、依然として先行きが不透明で気を揉んでいます。もう飛行機のチケットは確定していますし、海外転出届も出しているのですが、出国前のPCR検査で陽性になってしまえば渡航延期になるという、不安な状況です。 他方、…

「些細である」からこそ大事なセクハラの話

セクシュアル・ハラスメントという言葉は、1989年に福岡地裁で始まった訴訟(通称:福岡セクハラ訴訟)をきっかけに、広く知られるようになった。この裁判で弁護団は、福岡の小規模の出版社に勤務する女性が、性的な中傷を受けたことを、性差別によるもので…