近況
大阪大学倫理学・臨床哲学研究室の主催するフォーラムで、「研究者になるということ:研究者と当事者のあいだで」というオンライン講演をすることになりました。無料です。ご関心ある方は事前にご登録ください。
第7回臨床哲学フォーラム「研究者になるということ:研究者と当事者のあいだで」
日時:2022年6月1日(水)17:00-19:30(Zoom開催)
ウェブメディア集英社オンラインでは、拙著を担当してくださった柴山浩紀さんが、インタビューに答えておられます。「当事者は嘘をつく」についてもお話しいただいています。
私はもともと、性暴力の被害体験について書くつもりはなかったんですが、企画が決まってから「困った、エッセイを書こうとすると、必ず被害の話が出てきてしまう」という状態に陥って、「もうこれを書くしかないな」と覚悟を決めました。もちろん、柴山さんが最初に会いに来てくださったときは、私がサバイバーだということは知りませんでした。そこから、私はモチャモチャと「何書いたらいいんだろう」と迷走していたので、このまま本が出ないのではないかと思っていました。どうにもならないので、「とりあえず、全部書きたいんですけど」と企画会議が通らないまま、原稿をスタートしました。書いている時も「こんな話、面白いかなあ?」と思っていたし、だめだったら同人誌にして文学フリマで売るつもりでした。出版されることになってからも「売れるのかなあ」と思い、「まあでも、売れなくても在庫を抱えるのは私じゃなくて筑摩書房だから商業はありがたいな」などと考えたりしていました。なので、売れたのは柴山さんの仕事の成果だし、実際に売れてよかったです。それから、買ってくださった方や話題にしてくださった方も、ありがとうございます。私は今回、本当の本当に文章を書いただけです。なので、なんだか恐縮なんですが……
ブログでも、拙著をご紹介していただいています。研究者の竹端寛さんが、障害者運動の歴史を辿りながら、拙著を取り上げてくださいました。私自身は、竹端さんの文章を拝読し、「自己変革機能」と「社会変革機能」を軸に、障害者の当事者運動と照らし合わせながら、こんなふうにまとめていただけるのは、ありがたいことだと思いました。
また、臨床心理士の越智誠さんからは、家族介護の経験のなかで感じた専門家への怒りを出発点に、心理の世界に入っていかれた経験と照らし合わせながら、拙著をご紹介いただいています。
竹端さんや越智さんのような研究者/支援者からのレスポンスをいただくことが、私にとって研究を続けたり、支援の場が変わっていくことを信じたりすることの力になると感じています。それぞれの場で闘っている人がいると思えるのはありがたいことです。
さて、ウェブメディアModern Timesでは、私の新しい連載が始まりました。宮崎駿がテーマで、3回の予定です。1回目は、ロシアのウクライナ侵攻について少し触れ、宮崎の戦争体験などについても書いています。2回目はナウシカの話の予定です。