近況その2

 書き忘れたんですが、『現代思想』の誌上での森岡正博さんとの対談が、本に収録されて出版されました。端正で美しい装丁の本です。私の対談部分は再録なので書き足しはないのですが、森岡さんはいくつかのコラムを書き下ろしされています。

 こちらの本に、伊藤亜紗さんが毎日新聞で書評を書いてくださっています。

mainichi.jp

 記事の後半で、私のことも(たぶん)好意的に取り上げてくださってありがたいです。ただ、緊迫してお互いが沈黙するような議論のイメージを持たれてるんですが、実態はちょっと違いました。私も森岡さんもおしゃべりなので、相手が話してる間にうずうずしちゃうので、切れ目なくお互いに「はい、私のターン来た!」みたいな勢いでしゃべる対談でした。それをいい感じにまとめてくださったのは、『現代思想』の編集者さんの力量です。ありがたいです。

 ほかにも拙著に言及されている記事があったので、記録代わりにリンクします。一つ目は、劇作家・演出家の池田亮さんへのインタビュー記事です。「ゆうめい」という劇団に書き下ろした『ハートランド』という作品の執筆中に拙著を読んでくださったそうです。

執筆の折に何度も読み返した本があって、キャストの高野ゆらこさんに教えていただいた、小松原織香さんの『当事者は嘘をつく』という本にものすごく衝撃を受けて…。読後1週間は引きずってしまったのですが、結果的に3周くらい読み込みました。自分が当事者としての言葉を持ちつつも、やはり演出されたものを演劇として作り上げてしまっている、という部分にもすごくリンクしましたし、同時に、誰かの被害に対して「私とあなたは同じですね」というようなことを簡単には言えなくなったんです。これまでの創作やその中でどことなく感じていた違和感に気付かされるような心持ちになって…。今作はもちろん、自分の創作を改めて見つめ直す契機になった、特別な一冊でした。

www.engekisaikyoron.net

 私が気づいた時には公演が終わってしまったんですが、観たかったです。

 もう一つは、高橋征義さんへのインタビューです。コンピューター関係の話が続いて、「何で私の本がここに?」と思ったら、読んでくださってご紹介くださっていました。ブログも見てくださっていたそうです、ありがとうございます。

最近読んで面白かった本、えーっとですね。ちょっと出すのをためらうんですが、小松原織香さんっていう、基本的にはフェミニズムや哲学をやってる人なんですけど、『当事者は嘘をつく』っていう本を去年出されてて、あれがめちゃめちゃ面白かった。だけど、あんまり人には勧めないっていう感じの本ですね。 

product.st.inc

 「勧めないんだ!」と思って、笑ってしまいました。文藝に書いた論考も読んでくださっていて、ありがたいです。私も新井素子が好きだから、それも関連あるのかな、と思いながら記事を拝見しました。「いろんな方の目に触れているんだな」といまさら思います。

 Twitterでも、今でも読んでくださっている方がありがたいです。基本的には反応しないんですが、たまにめちゃくちゃ面白いコメントがあります。今まで一番好きなのは、「図書館でこの本を借りたんだけど、今日までが返却期限で、もう読めないかと思ったけど、ラーメン屋の行列に30分並んでいる間に読みました。面白かった!」みたいなツイートです。みんないろんなところで、いろんな読み方してますね。なんにせよ、ありがたいです*1

*1:「ありがたいです」の連呼なんですけど、本人はもうその気持ちでいっぱいになるので……。本を出して予想以上に反響をいただいて恐縮です。