近況

 ベルギーはすっかり秋が深まってきて、空は雲りがちで、朝夕の冷え込みが厳しくなってきました。これから欧州の長い冬が続くので、少し憂鬱にはなります。ベルギーのコロナの感染者は増加しており、マスクの着用義務は強化されました。3回目のワクチン接種もする方向で動き出しています。ただ、街のオープンな雰囲気は続いていて、カフェやレストランも賑わっています。今年の春頃に比べれば、ずっとのんびりしています。また、私は大学の研究科の知り合いも増えてきており、研究は順調に進んでいるのでよかったです。

 このたび、英語の査読論文が掲載されました。タイトルはThe Role of Literary Artists in Environmental Movements: Minamata Disease and Michiko Ishimure(環境運動における文学者の役割 水俣病石牟礼道子)です。石牟礼が水俣病運動で提起した「もうひとつのこの世」のビジョンを、道徳共同体と神秘世界の二側面から分析しました。アーティストが創り出すファンタジーが、環境運動を牽引することがあり得るのだ、という提起をしています。石牟礼研究は日本語では膨大にあり、残念ながら私の研究はそこに深く立ち入れるものではないのですが、新しい角度からの問題提起としてご検討いただければ幸いです。

 掲載されたのは、 International Journal for Crime Justice and Social Democracyという犯罪学を中心とした論文誌です。社会運動との繋がりも深く、アクティビストも投稿したり、読者になったりする雑誌ですので、私としてはここで発表できたのは幸いでした。しかも、全ての論文が無料で読めます。

www.crimejusticejournal.com

 加えて、知人に勧められて、Twitterのアカウントを再び取得しました。こちらは研究の情報収集と、英語での発信のために使いたいと思っています。日本語でのTwitterのアカウントは、私には負担が大きかったのですが、今回は「英語縛り」があるのでそんなに活発にも使えないだろうし、のんびりやっていければと思っています。ほかにも、いろんなかたちで論文以外にも英語で発信する方法を考えています。こういう気持ちになれたのも、(批判はありますが)DeepLとGrammarlyのおかげです。もちろん機械翻訳だけでは不足も多いですが、私にとって英語を書く億劫さは半分くらいになりました。どちらも有料会員になっています。

 日本語では、論文集にエコサイドと修復的司法についての試論を寄稿しました。近いうちに公開されると思います。本の原稿はいま校閲のチェックをしています。順調にいけば年末か来年の頭頃に筑摩書房から出る予定です。