え、そっちに勇気出すの?

 労働について述べた記事が話題になっているようだ。id:guri_2さんは労働者搾取やサービス残業について文句を言う人たちに「要は、勇気がないんでしょ?」と挑発する。

文句を言うな、とかそういうことじゃないんです。

文句を言っている暇があったら行動を起こして、状況変えちゃった方が早くないっすか?と思うのです。

guri_2「要は、勇気がないんでしょ?」『Attribute=51』(http://d.hatena.ne.jp/guri_2/20080316/1205641886

ここまでは同意していた。次の展開にビックリ。

自分たちだけ良い思いをする社長がうらやましい(憎たらしい)なら、自分も社長になって同じことをすればいいし、

会社にいたいなら縦横のつながり作って、自分自身も売り上げあげて、発言力持って、会社を変えちゃえばいいんじゃん?と。

(同上)

え、あ?そっちなの?という感じ。どうせ勇気を出すなら、連帯して労組を作って、労働条件についての団体交渉をしてはどうかと思うのですが。それは「だせぇ」んだろうか……。
 私自身は、勇気を出す人がいっつも極限状態の人だって言うのが、問題だとも思うのですが。「俺、そこまで悲惨じゃねーし」みたいな。「悲惨じゃねー」からこそ、勇気を出す余裕があるというわけにはいかないのだろうか。
 「サバイバーよ、勇気を出すな」という超カッコイイ帯のついた本も出てることですしね。

「専門家」は、「性暴力やセクハラ被害にあったら『泣き寝入り』しないで、『勇気を出して』訴えて下さい」ということをよく言う。まるで『泣き寝入りをすること』と『勇気を出すこと』が対極にあるような言い方である。しかし、被害を受けた当事者からすれば、被害後の日々を生きること自体が大変なことであり、『泣き寝入り』するにも『勇気』が要るという状況がある。そのことも認識されないまま、被害者は性暴力をなくすために世の中に貢献することを求められる。当事者の意思はそこでは蔑ろにされている。

高橋りりす「『サバイバー・フェミニズム』を書くにあたって」(http://lilitht.hp.infoseek.co.jp/b_01.html

サバイバー・フェミニズム

サバイバー・フェミニズム

当事者にがんばらせるのは違うと思うが、誰もがんばらないのも違うと思う。