「彼女の正しい名前」の前に、「彼女」でいいのか?

 id:Yu-uさんが、「ジェンダー論研究会」の報告をアップしている。*1

http://d.hatena.ne.jp/Yu-u/20080125/1202641385


**立命館大学 2007年度・第7回ジェンダー研究会

 日時:2008年01月25日(金)16:30〜19:00

 場所:立命館大学衣笠キャンパス)学而館2階・第1研究会室

 テーマ:トランス・ポリティクスの可能性

 報告者:中村美亜(東京藝術大学非常勤講師)

 コメンテーター:森岡素直(立命館大学社会学研究科M1)

          堀江有里(立命館大学非常勤講師)

 司会:高橋慎一(立命館大学大学院先端総合学術研究科D3)

 主催:国際言語文化研究所プロジェクトA1

 共催:科学研究費補助金基盤研究B(代表:二宮周平

 発表者の中村さんは、舞台上での「ジェンダー・クリエイティブ」な振る舞いを分析することを通して、日常生活のジェンダーシステムを洗い出す試みを行っている。それに対して、森岡さんは男女二元論に抵抗しようとしても、その抵抗のふるないが飲み込まれ、無化される点を指摘している。また、堀江さんは男女二元論の抵抗となるはずの身振りこそが、別のポジションに固定する身振りにつながる点を指摘している。

 男女二元論の問題は、私も本当に悩ましい。私が一番悩むのは、「彼/彼女ら」の表記である。ばりばり二元論ですよね、これ…。まあ、私の中で「スラッシュは浸透膜である」*2という考えがあるので、私なりに個人としては納得している部分もあるけれど、抵抗の身振りにはならないように思う。「彼ら」と書きながら、心の中で「彼の中に男以外の人も入っとるからな〜!」と叫ぶこともある。

 関連性はないけれど、似た話題ではid:yamtomさんの記事が面白かった。

先日、女性教員のちょっとしたビール飲み会があったので行ってきた。そこでちょっと話題になったのが、学生が教員をどう呼ぶか。私と話していた2人の白人女性教員は、自分たちがファーストネームで学部生に呼ばれるのが好きではないという。とくに男性教員はProfessor○○、Dr.○○と呼ばれる場合が多いのに、女性はファーストネームが多かったり、最悪の場合Mrs.○○と呼ばれる場合もあるというのだ。院生とか、せめて学部でも高学年になり教員と近いところで研究活動などするようになればファーストネームでいいけれど、学部生のとくに入門レベルの講座をとる学生の場合は、Professor○○、 Dr.○○と呼んでほしい、学部全体でこれは話し合うべきかもしれない、と言っていた。

アメリカでの教員の呼び名」『ふぇみにすとの雑感』(http://diary.jp.aol.com/applet/mywny3frv/20080211/archive

このあと、山口さんの記事は、非常勤講師らと呼び方で区分する妥当性や、院生と学部生を区分する妥当性を問うている。難しいのは、ジェンダーだけが階級ではないということ。
 ちなみに、私は「先生と呼ばない=ヒラバ」だと主張する人が苦手である。だって、権力関係アリアリじゃん…と思いつつ「この場はヒラバだから、さん付けにしてください」と求められると、ビミョウな気分だ。別に拒否したいわけでもなく、むしろ、私は「さん付け」を肯定的に使うほう*3なのだけれど、……「さん付け=ヒラバ」とアリバイ作りや権力関係の目隠しにしてしまわないように、注意は必要だ。

*1:ありがとうございますm(_ _)m

*2:これは誰が言ったんだっけな?ダムタイプの人あたりだと思う

*3:私は、それこそジェンダーシステム的にどうなの?と思うので、年下男性に対しても「○○君」という呼び方は、あまりしない。(いや、ケースバイケースだけど)というわけで、21歳の男性を「さん付け」で呼んでいると、周囲の人に、彼よりも私が年下だと思われた。私が20歳っていうのは、無理があるだろう……