近況

 このごろのベルギーは毎日、曇天か雨か氷混じりの雪です。今日は霧です。冬はずっとこの調子だそうで、春がいまから待ち遠しいです。クリスマス休暇に入る人も多く、街はイルミネーションの飾り付けも増えました。ただ、今年はあちこちのクリスマスマーケットは中止になり、寂しいです。私の住んでいるルーヴェンも早々に中止が決まり、友人たちが残念がってくれました。

 ただ、ビザの延長の申請を大学から出してもらったので、順調にいれば来年もベルギーにいることになりそうです。来年はもう少し、コロナの状況が落ち着くことを願います!次々と変異株が出て、先の見通しがたちませんが、来年のクリスマスごろにはもっと気楽に暮らせるようになっていますように……

 楽しみがないぶん研究に打ち込むしかないので、仕事は進みました。ビザ延長についても、業績がしっかりあることと、積極的にチームの仕事に貢献していることで、大学内の研究科の審査はあっさりと通りました。私自身、4月にこちらにきてから、国際学会で3本の報告をしましたし、英語論文2本を新たに書いて投稿し、日本語論文ももうすぐ出版される見込みなので、いい調子だと思います。

 相変わらず英語には苦労していますが、さすがに10ヶ月目なので、こちらに来た直後よりはずいぶんとスムーズにコミュニケーションが取れるようになりました。そうすると、余計に欲が出てきて、自分に対してイライラすることも増えました。最初はその場をやり過ごせれば満足していましたが、今は自分の日本語での言語運用能力とのギャップで、「ああ、もっと話したいことがあるのに!」と叫びたくなります。しかしながら、研究を進めながら、生活を円滑にやろうと思うと英語学習に時間はそんなに割けず、もどかしい気持ちです。他方、研究のアイデアが面白く、アウトプットを増やして自分の力をアピールしていけば、英語が下手でも、短期滞在ならなんとかなるものだなあとは思っています。(それだけに、母語以外で博士号を取る人は心底尊敬します)

 本の出版は大詰めにさしかかっています。編集さんはもちろん、校閲さんやデザイナーさん、コメントをくださる方など、たくさんの方が協力くださるなかで本が出来上がっていくのは、感慨深いです。これから、出版社の営業さんや、取次の仕事の方、本屋の販売員さんなどのご協力もいただくことになります。(商業の)本はひとりの力では出せない、というのは聞いていましたが、実際に自分がそのプロセスに関わることで実感しています。自分が細々と同人誌を出していたので、商業出版社でプロが集まってきてコーディネートしてくださるのは「すごい!!」と素直に思います。それと同時に、同人誌即売会で印刷会社から届いた新刊のダン箱を開けて「できた……」と手に取って一人で感動する瞬間はなににも変えがたいですし、これからもずっと続けていきたいと改めて思っています。どちらの幸せも知ることができるのは、贅沢でありがたいことですね。