内閣府「「性犯罪被害者支援に関する調査研究」報告書

 今年の六月付けの「性犯罪被害者支援に関する調査研究」報告書がネットにPDFであがっているようだ。

「性犯罪被害者支援に関する調査研究」報告書
http://www.gender.go.jp/e-vaw/chousa/images/pdf/h26_seihanzai_houkoku.pdf

 ワンストップセンターの設置の現状と、これからの設置計画について報告されている。佐賀と和歌山のワンストップセンターは、大阪の先駆的な活動SACHICOを踏襲して設置されている。また、沖縄では既存の支援団体「ゆい」と「REICO」と連携しての設置が目指されているとの報告がなされている。他地域でも次々と設置計画ができているようだ。
 もちろん、ワンストップセンターの設置は必要な活動ではあるのだが、性暴力被害者支援の現場の人はすでにこれらの活動の不備が、あちこちでささやかれていることは知っているだろう。一番の問題は「連携不足」である。他団体との連携をうたってはいるが、現実的には被害者を抱え込んでいるという指摘が非公式に支援者同士でされている。
 また、ある地方の支援者からは「都市部を想定しているサービスである」との話も聞いた。地方によってはワンストップセンターまで行くための、足もお金もない被害者が多い。SACHICOをモデルとして、次々と設置が行われているだけに、「ある都市での成功例を他の地方に移植する」やり方への不満が出始めているのも気になっている。
 この背景には「ワンストップセンターといえば予算が出る」という雰囲気があるのではないか。支援制度は「作れば何とかなる」ようなものではない。「ないよりはあったほうがいい」というのはもっともだ。しかし、地方によっては女性相談の窓口業務が出来る相談員の確保にも苦労している現状もあるのだ。額の予算をワンストップセンターが投入するやり方が本当にいいのか、ためらう。