少女マンガの夢

 2年くらい前に、「ハーレクイン雑誌がキてる」というような記事*1を書いたんだけど、さらに市場は広がってるみたい。先日、書店の雑誌コーナーをみてみると、「別冊ハーレクイン」に続き、「マリエ」「ハーモニィRomance」も平積みにされている。

別冊ハーレクイン夏号 2009年 08月号 [雑誌]

別冊ハーレクイン夏号 2009年 08月号 [雑誌]

marie (マリエ) 2009年 08月号 [雑誌]

marie (マリエ) 2009年 08月号 [雑誌]

ハーモニィRomance (ロマンス) 2009年 10月号 [雑誌]

ハーモニィRomance (ロマンス) 2009年 10月号 [雑誌]

もちろん、さいとうちほは大活躍中。藤田和子もすっかりこちらに転身かなあ。藤田さんのスポ根漫画を愛読していた身としては、なんとなくさびしくもある。
 私は「修行もの」や「大河もの」が好きだったので、その手の少女マンガがすっかり廃れてしまってかなしい。あえていうと、「のだめカンタービレ」は、学園ラブコメディから、「修行もの」に舵を切りつつあるのかなあ……。
 少女マンガに、「がんばって立身出世」というサクセスストーリーではなく、きれいな女の子が、王子様にさらわれる、という夢物語の世界に浸ることを求める層は増えているのかも。

 ちなみに、ハーレクインの対極を行くのが「Kiss」です。(なぜか「はまぞう」でうまく出せなかった)ついに「IS」は完結したものの、すっかり男女の現実の恋愛関係を描くことに専心し始めた「30婚」や、妊娠・中絶をテーマにした「ナチュラル」など、フェミカテゴリーで分類できそうなマンガのラインナップになってきました。7/25号の「ワーキングピュア」では、30をすぎて女として働くこと、みたいなテーマも扱っていたし。一方で、ファンタジーに突っ切るのは「苺田さんの話」。リカちゃん人形に、宇宙人が憑依したという設定なんだけど、そこんところを深く追求せずに、ひたすらほのぼの恋愛マンガになっている。そして、いかにもありそうな日常を描く中で、エイリアンの孤独を掬いとろうとするという、小沢真理マジック。
 でも、ある意味、「外部のもの」としてみられている人たちと、なんとなくゆるゆるやっていける世界というのが、最近の少女マンガ読みの求めているユートピアなのかも。私もそういう作品が好きだ。代表作はこれ↓

町でうわさの天狗の子 2 (フラワーコミックスアルファ)

町でうわさの天狗の子 2 (フラワーコミックスアルファ)

ハーレクインにしても、この手のユートピアにしても、やっぱり少女マンガは夢を描くことが醍醐味なのかもなあ。少なくとも、私は、その部分を求めて、少女マンガ読みをやってると思う。もちろん、Kiss勢のような、現実的に女性が突き当たる問題を取り上げることも、大切なんだけどね。だけど、私が悩むのは、この醍醐味は批評や分析に向かない、ってことだ。そっと夢は夢のままで置いときたい、っていう気持ちは、私にもある。