性暴力被害者への行政の支援は削られています

 昨日、性暴力救援センター・大阪「SACHICO」をブログで紹介しました*1。そこで、このセンターが大阪府や行政により設置されると思った方や、ワンストップセンターを混同しておられる方がいらっしゃいます。これは誤解ですので、追記として記事を書きます。
 ワンストップセンターは、病院内に、警察官や犯罪被害者支援スタッフを常駐させるシステムです。韓国ではすでに設置されていて、女性警察官やカウンセラーが病院内に常駐しています。日本では、現在、警察庁が試験導入のための予算を請求しています。しかし、このワンストップセンターの目的は、性暴力被害者の訴えを増やすことを目的としています。つまり、検挙率をあげることが目的であり、被害者の支援が目的ではありません。
 先に紹介した「SACHICO」は、もちろん警察との連携も行います。しかし、優先されるのは被害者の負担を減らすことです。いまの社会の現状で、警察へ訴え、先の刑事裁判を行うことは、被害者の大きな負担になります。それでも訴えたいという被害者の意志は尊重され、少しでも負担を減らすように努力をしなければなりません。同時に、訴えないという被害者の意志も尊重されなくてはなりません。「病院に行ったら訴えなければならない」というプレッシャーを、被害者が感じないような配慮が必要だと思います。ワンストップセンターの導入は、被害者が警察へのアクセスをしやすくなったという評価できる部分があります。しかし同時に、警察主導で被害者への介入が行われることへ懸念があり、慎重に見守る必要のある制度だと思います。
 同時に、行政、とりわけ大阪府は性暴力被害者支援に対し、資金を削っています。女性相談を受け付けていた、大阪府女性相談センターがドーンセンター内に移転になりました。実質、統廃合であり、相談員の削減です。その結果、ドーンセンターのカウンセラーの不足で、利用者の待ち時間が増大しています。実際に、性暴力被害についての相談をしようすると、一か月待ちだと言われた人もいるようです。有料のカウンセリングは非常に高額で、被害者の負担は増える一方です。これでは、被害者はパワーは奪われてしまいます。ましてや、「声を上げよう」ことを後押しすることとは、程遠い状況です。
 今回、設置される「SACHICO」は行政が主導していません。もちろん、警察が主導でもありません。設立準備室のメンバーは、有志の弁護士、臨床心理士、研究者、産婦人科医、小児科医、フェミニストたちです。ですが、こうした現場の支援者たちが集まって立ち上げる機関だからこそ、できることもあるように思います。民間団体ですから、運用資金への心配があります。というわけで、寄付のおねがいを前記事でも載せたわけです。

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