今年の10冊

 10冊分の読んだ感想をまとめたいと思っているうちに大みそか。滑り込みでリストアップだけしておきます。ギリギリ間に合った!

川口有美子「逝かない身体」

逝かない身体―ALS的日常を生きる (シリーズ ケアをひらく)

逝かない身体―ALS的日常を生きる (シリーズ ケアをひらく)

今年の鉄板でしょう。ALSの母親を介護し、看取った風景を描きあげたエッセイです。アップしていなかった記事で、感想を書いていたのであげました。
http://d.hatena.ne.jp/font-da/20101231/1293780065

熊谷晋一郎「リハビリの夜」

リハビリの夜 (シリーズ ケアをひらく)

リハビリの夜 (シリーズ ケアをひらく)

こちらも、今年ほうぼうで大絶賛されていた本。脳性まひの身体を通して発見された他者関係。ひたすらにエロくて、ドキドキしながら読みました。特に「耽り」は最高でした。

鈴木大介「家のない少女たち」

二年前に出たルポルタージュで、文庫化されたのを機に手に取りました。家出し、援助交際で身を立てて生き抜こうとする、18歳以下の少女たちを取材しています。この本は、私の所属する研究室で回してみたのですが、みんな取り憑かれたよう読んでました。巻末の福祉関係の問題をフォローしたあとがきもぜひ読むべきです。鈴木さんの新刊はこちら。
出会い系のシングルマザーたち―欲望と貧困のはざまで

出会い系のシングルマザーたち―欲望と貧困のはざまで

こっちもハードでした。ぜひまた改めて紹介したい2冊です。

香月真理子「欲望のゆくえ」

欲望のゆくえ 子どもを性の対象とする人たち

欲望のゆくえ 子どもを性の対象とする人たち

「子どもを性の対象にする人たち」に取材した本です。以前にも紹介しましたが、もっと読まれてもいいように思います。
以前書いた記事はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/font-da/20100323/1269340431

小林美佳「性犯罪とたたかうということ」

性犯罪被害とたたかうということ

性犯罪被害とたたかうということ

この社会のおける性犯罪の取り扱われ方、それを変えようとする動きについて、当事者がどのように見ているのかについて書いています。小林さんは「性犯罪被害にあうということ」という本を出しており、その後の反響や、考えたことにも触れられています。
性犯罪被害にあうということ

性犯罪被害にあうということ

こちらも以前とりあげました。
http://d.hatena.ne.jp/font-da/20101020/1287585568

守如子「女はポルノを読む」

女はポルノを読む―女性の性欲とフェミニズム (青弓社ライブラリー)

女はポルノを読む―女性の性欲とフェミニズム (青弓社ライブラリー)

フェミニストの守さんによる、女性向けポルノの研究の本です。読者カードから見えてくる、ポルノを楽しむ女性たち。ポルノの議論をするときに、一読はしておくべきかな、と思います。

綾屋紗月「前略、離婚を決めました」

前略、離婚を決めました (よりみちパン!セ)

前略、離婚を決めました (よりみちパン!セ)

発達障害当事者としての孤独感から、つながりあえる存在である夫をみつけた喜び。そして、その夫からの暴力について、「子どもたちへの手紙」という形をとったエッセイです。親密な関係における性暴力についても、克明に描かれています。

ウィリアム・L・マーシャル、ヨーランダ・M・フェルナンデス、リアム・E・マーシャル、ジェリス・A・セラン「性犯罪者の治療と処遇」

性犯罪者の治療と処遇

性犯罪者の治療と処遇

  • 作者: ウィリアム・L・マーシャル,ヨーランダ・M・フェルナンデス,リアム・E・マーシャル,ジェリス・A・セラン,小林 万洋,門本 泉,大森 明子,齋藤 栄二,里見 聡,谷 真如,西田 篤史
  • 出版社/メーカー: 日本評論社
  • 発売日: 2010/09/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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科学的知見に基づく、性犯罪者への対応を検討した論文集が編まれています。このように日本語でまとまったものが手に入るということで、私はありがたく買いました。小林さんの本を紹介した際にも触れました。
http://d.hatena.ne.jp/font-da/20101020/1287585568

細井洋子、西村春夫、高橋則夫「修復的正義の今日・明日」

修復的正義の今日・明日―後期モダニティにおける新しい人間観の可能性 (RJ叢書)

修復的正義の今日・明日―後期モダニティにおける新しい人間観の可能性 (RJ叢書)

修復的司法についての、最新の本だと思います。ついに、児童虐待、DV、性犯罪など、修復的司法でハードケースだとみなされる事例を扱った論文が収録されています。まだ、海外文献を元に可能性を検討するにとどまってはいますが、慎重に検討したい課題だと思います。また被害者支援や少年司法などの、実践の中で修復的司法がどう扱われるのかについて述べたものもあります。成文堂のRJ叢書は、定期的に修復的司法に関する文献を出していますが、概論から一歩踏み込んだ応用編にあたるような一冊ではないでしょうか。

早瀬まひるまひるのM日記」

まひるのM日記

まひるのM日記

番外のような一冊。フェミニストでM女の早瀬さんのエッセイ。決して新しい本ではないのですが、「どうして今までこの本を読まなかったんだろう?!」と衝撃を受けました。以前、ある人に「あなたは、早瀬まひるに似ている」と言われ、「どういう意味なんだろう?」と思っていたのですが、読むと「こういう意味だったのか!」と腑に落ちました。機会があれば、また紹介します。

知っている人の本

あまり、紹介しないんですけど、三冊ともとても印象に残りました。書影だけあげておきます。

貧困という監獄―グローバル化と刑罰国家の到来

貧困という監獄―グローバル化と刑罰国家の到来

私はマイノリティ あなたは?

私はマイノリティ あなたは?