近況

 拙著が増刷され、書店さんでも在庫が復活しているそうです。電子版もそろそろ出ると聞きました。多くの方の手にとっていただき、感謝しています。SNSやブログなどでも話題にしていただき、ありがとうございます。

 先日、成文堂から出版された『高橋則夫先生古稀祝賀論文集』下巻に、小松原織香「犯罪化か、修復的正義(restorative justice)か? ―環境問題における刑事司法の役割の再検討―」を寄稿いたしました。高橋先生は、日本における修復的正義の研究を牽引してこられました。私も、大変お世話になりました。今後もいっそうのご活躍をされることを祈念しています。

 私の論文は、近年、ヨーロッパにおいて環境運動において「エコサイド(ecocide)」概念が再び注目され、環境刑法が再評価されていること状況を、日本語でまとめたものです。加えて、犯罪化による環境問題の解決の限界を指摘し、修復的正義の導入を提起しました。この論文は、2020年に立ち上がった、European forum for restorative justice(EFRJ)の「環境破壊における修復的正義(environmental restorarive justice)」についてのワーキンググループに参加し始め、そこの議論に触発されて書きました。グループには法の実務家や法学者も参加しており、EU環境政策に対する修復的正義導入についての政策提言も行いました。これまで経験のない仕事だったので、刺激を受けました。私は法学の専門ではないので、拙い部分もある論文だと思いますが、環境政策にご関心ある方に読んでいただければ幸いです*1

 私の方は、無事に滞在許可が降りましたので今年の末まではベルギーで在外研究を継続予定です*2。今年度は4回の国際学会での報告を行い、英語論文を新規で3本書いて投稿しました。先日は、こちらのルーヴェンカソリック大学の犯罪学研究科の学内セミナーで報告を行い、ずいぶんと議論が盛り上がりました。初めての在外研究にしては頑張ったのではないかと思います。社会情勢が不安定ななかではありますが、次年度も頑張りたいと思っています。

*1:専門書ですのでお値段が相応になっています。大学図書館などには配架されますので、レファレンスカウンターなどでお取り寄せいただくのも良いかと思います。

*2:住民カードの更新の手続きがうまくいかず、右往左往していますが……