本の紹介

 3月末に「誰も加害者を裁けない」という本が出版されます。これは、京都の亀岡で起きた、集団登校中の子どもたちの中に車が突っ込んで、巻き込まれた方が亡くなったり負傷されたりした事件についての本です。著者の広瀬さんは私の古くからの知り合いで、京都新聞の記者としてこの事件について継続した取材を行ってきました。目次から察するに、時間をかけてご遺族の声を聴こうとしながら、マスメディアの事件報道の意義を問うた本なのだろうと思います。加害者の償いや、加害者の更生支援に取り組む被害者の話もありますので、ご関心ある方はぜひご予約ください。

 そのほかにも、以下の二冊を紹介しました。一冊目は、編者のおひとりである飯田さんからご恵投いただきました。飯田さんは、ソーシャルワーカーとして、刑務所に来た人たち、犯罪や暴力の経験がある人たちと関わってきました。この本では具体的を例示しながら、加害者と呼ばれる人たちが、社会で暮らしていく道を探す方法の模索が、複数の著者によって提示されています。また、マイノリティで逸脱行為に至った人たちの、直面する困難を、ソーシャルワーカーがどう支えるのかについての話もありました。「加害者と呼ばれるのは、どんな人たちなのだろう」「かれらは、変われるのだろうか」と思う人におすすめです。

 二冊目は、「沖縄とセクシュアリティ社会学」というタイトルの本です。著者の玉城さんとは、研究会でお会いしたことがあります。博士論文をもとにした研究書です。まだ手に取ったばかりですが、後半部分だけ目を通しました。沖縄における歓楽街の浄化作戦の結果、働いていた人たちが居場所をなくしていくさまが資料に基づいて描かれていて、大変勉強になりました。全体を通して精読したいと思う本です。