児ポ法おぼえがき その4

 その1、その2、その3はこちら

児ポ法おぼえがき」
http://d.hatena.ne.jp/font-da/20090713/1247443606
児ポ法おぼえがき その2」
http://d.hatena.ne.jp/font-da/20090716/1247754178
児ポ法おぼえがき その3」
http://d.hatena.ne.jp/font-da/20090719/1247965618

 もう一度、自分の立ち位置を確認しておく。私は、児ポ法に”議論の上での”賛同を表明している。これは、積極的支持ではなく消極的支持である。どちらかというと、慎重派に近い立場である。今回の、児ポ法廃案は本当によかったと思ってる。専門的な議論が不十分な中で、政局に左右されて、わけのわからないうちに成立するところだった。
 しかし、慎重を求めるのは、「表現の自由」や「国家権力による欲望の干渉阻止」のためではない。立法につなげるためには、もっと法学の視点からの議論が必要だと考えているからだ。たとえば、諸外国の児童ポルノの単純所持規制に関する法についての、研究が必要だろう。おそらく、児童ポルノの定義や、検閲を避けるための工夫についての論議がなされてきたはずだ。(なされてないなら、それはそれで問題化できる)また、これまで、そうした法が検閲に使われた(とみなされる)事例を実証分析すべきである。
 すでに、そうした研究があるのであれば、議論の下地として参照しよう。幸運なことに、これまで児童ポルノの単純所持規制を先駆けてきた国があるので、私たちはそれを参考にしてこの問題を考えることができる。また、これは諸外国に盲従することとは違う。議論の上で、諸外国と異なる路線をとるのであれば、それはそれで良いのだ。 
 もちろん、この問題は国民的に性の問題として議論すべきである。しかし、同時に、十分に専門家による議論・報告をあげてから立法しなければならないはずだ。たぶん、この問題を専門に扱えるのは、ジェンダー法学やフェミニスト法学の分野であろう。私はよく知らないが、日本では、これまでジェンダーの視点を用いた法学は軽視されてきたのではないか。児童ポルノの問題に関しては、感情に流されずに議論する俎上を、専門家によって作る必要があると思う。