立て続けに、移民問題に動きがありました。私が知っているかぎりを、メモ代わりに。
「アイヌは先住民族」衆参両院で全会一致の決議採択
今年は、北海道・洞爺湖でG8サミットがあります。日本では、アイヌを先住民族とするかどうかの態度を、保留してきました。しかし、開催地が北海道であることを意識してか、決議採択となったようです。
衆参両院は6日の本会議で、「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」をいずれも全会一致で採択した。政府に対し、アイヌ民族を先住民族と認定し、関連政策を推進するよう求める内容だ。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080606-OYT1T00276.htm
「政府としては、アイヌの人々が先住民族との認識のもと、総合的な施策の確立に努める」という文言が入っています。しかし、財産権や土地の占有権の問題には触れず、「アイヌ民族の権利内容を審議する有識者懇談会を設置する方針」に留められています。
また、決議前には、北海道の超党派「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」が提出した案の、「アイヌの人々が労働力として拘束、収奪されたため、その社会や文化の破壊が進み、『同化政策』により伝統的な生活が制限、禁止された」と述べた部分が削除されました。
この採択をどう見るのかは難しいところですが、少なくとも「アイヌは先住民族である」ということが認められました。次の運動につながっていくのではないかと思います。
「国籍法は違憲」婚外子10人に日本国籍 最高裁判決
結婚していない日本人の父とフィリピン人の母から生まれた子ども10人(8〜14歳)が、日本国籍の確認を国に求めた訴訟で、最高裁大法廷(裁判長・島田仁郎(にろう)長官)は4日、10人全員に日本国籍を認めた。生まれた後に父から認知されても、両親が結婚していないことを理由に日本国籍を認めない現在の国籍法は、憲法14条の「法の下の平等」に反すると判断した。
http://www.asahi.com/national/update/0604/TKY200806040187.html
これは、国籍を認める要件が、結婚要件から認知要件へ変わる可能性を示唆しています。現行法では、父親にあたる男性が、母親にあたるフィリピン人女性以外と、婚姻している場合、その子は日本国籍がとれませんでした。
よく挙げられるパターンは、日本人男性が、フィリピン人女性と、浮気してできた子どもという場合。産まれる前に男性が認知すれば、国籍がとれるけれど、産まれた後に男性が認知しても、国籍はとれませんでした。しかし、生活基盤が日本にあると、子どもを連れてフィリピンに移ることは、非常に難しいです。
今回の判決では、社会状況の変化や、国際情勢の流れから、親子関係に対する社会通念に、現在の国籍法がかなわないと判断されました。そこで、産まれた後でも、男性が認知すれば国籍がとれるように、法律改正が求められる可能性が高いです。
それから、この朝日新聞のニュースに出ている、喜ぶ母子らの写真が、なんかすごい良かった。飛び跳ねてます。
メフディさん難民申請受理される
こちらはデルタGのミヤマアキラさん経由で。
イラン人ゲイのメフディ・カゼミさんが、2008年5月19日に英国での難民申請を受理されたことが、公開されたメフディさんの手紙からわかりました。手紙には、難民申請が認められたことに対するさまざまなひとびとへの感謝、ここまでの道のりの困難さ、今後の新しい人生への期待とイランへの思慕などが語られています。
ミヤマアキラ「メフディさん難民申請受理される」『デルタG』
この件は、同性愛者だと処刑されるイランから脱出した青年が、オランダで難民申請を却下されたという問題でした。そして、青年は最初に入国した英国に送還されることになり、このところ難民申請を却下するケースが増えている英国政府に対し、運動家がアクションを起こしていました。
詳しくはこちら↓
「イラン人19歳男性、英国へ送還へ(記事リンク集つき)」(http://www.delta-g.org/news/2008/06/post-162.html)
このあたりの難民申請をめぐる状況をid:tummygirlさんがフォローしています。
「その発言がどのような行為となって誰を脅かすのか:イラン人青年強制送還をめぐって」