戦時中の文楽

 日経新聞の「私の履歴書」で吉田蓑助が連載している。不勉強な私でも、吉田さんの名前は知ってます。そして、吉田さんが、子ども時代に戦時中の文楽の様子を語っている。

 空襲警報のサイレンが鳴ると、演者も観客も仲良く防空壕へ。解除されると舞台や客席に戻る。「どこまで語りましたやろうか」と太夫がお客さんに聞いてから再開。死と隣り合わせの明け暮れなのに場内爆笑だった。
 文五朗師匠の奥さんのお供でならによく買い出しに出掛けた。八月十五日、今のJR王寺駅でラジオから名が得る終戦の詔を聴いた。人の情けを一心に表現する文楽には、やっぱり戦争は似合わない。

日経新聞、2007年9月6日)

日本の芸能を引き継ぎ、「美しい日本」を守ってきた吉田さん。戦争はいらないってさ。