- 作者: イヴエンスラー,Eve Ensler,岸本佐知子
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2002/12
- メディア: 単行本
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何度か日本でも上演されているので、ご存じの方も多いだろう朗読劇の戯曲である。読んでいて辛くなる話もあれば、吹き出すような話もある。エネルギーに満ちていて、単なる女性のエログロではなく、女性が自分の体の一部としてヴァギナの存在を取り戻すうねりが描かれている。読み直して、やっぱり元気の出るいい本だと思った。
私のお気に入りは次の一番有名な箇所だ。ヴァギナ・ワークショップ*1でクリトリスを探していて、もしかして自分はクリトリスのない欠陥人間ではないかと不安でパニックに陥った女性の話。
わたしが、ハアハアいいながら汗まみれでもがいているのに気がついて、主催者の女性が近づいてきた。わたしは言った、「クリトリスをなくしちゃったの。見つからないの。泳ぐときにしてっちゃいけなかったのに。」彼女は笑って、わたしの額をやさいしく撫でた。そして言ったの。あなたのクリトリスは絶対になくなったりなんかしない。だって、それはあなたなのだから。あなたをあなたにしているものなんだから。あなたの家の呼び鈴でもあり、家族そのものでもあるの。”探す”んじゃない、あなたがそれになるのよ。なりなさい。あなたのヴァギナに。あなたのヴァギナになりなさい。(55頁)
「マンコ一人語り」と訳すべきだったという声は、まだ根強い。アメリカでは「ヴァギナ」という言葉は口にするのをはばかられ、公共の場所では表記できないから。確かに、日本語の「ヴァギナ」はインパクトが弱い。本当の本当に医学用語になってしまう。いい言葉はないかな。