北京故宮博物院展@なんば高島屋グランドホール

 興味があったわけでもないが、なんばに出る用事があったので、ふらっと立ち寄った。(http://plaza.harmonix.ne.jp/~artnavi/10publicity/190517-takashima-o-kokyu/00takashimaya-kokyu.html
 主に清朝末期の西太后と溥儀の時代の宝物。年配の女性が多く、あれこれ女性の装飾具を品評していた。*1人気があったのは、櫛やかんざしのようだったが、私が目を奪われたのはひすいの彫刻。特に清朝半ばごろ(のものだったと思う)の、断崖に道をつけ、建物を彫っている小ぶりのものは素晴らしかった。裏側に、詩歌が刻んであるのも良い。宝石というと、西洋のダイヤモンドやサファイヤが思い浮かびやすいが、中国のめのうなどの石も美しかった。
 それから、大がかりな展示としては、「垂簾聴政の間」の復元。これは西太后が政治をするときに実際に使った玉座を再現したもの。渋い建具が迫力あった。解説では、何度も、西太后が悪女と呼ばれるのは、彼女が自立した女性だったため、嫉妬をかっていたからだ、と述べられていた。西太后が浪費家であったのは事実だろう。ただ、それまでの清朝の女性が、男性の寵愛を受けるために美容に精を出したのに、西太后は「美とは兼好である」との一貫した自分志向型を打ち出している。そのため、周囲から「自己中心的」と過剰に言われたのも、情勢上、仕方がなかったのかもしれない。
 溥儀の持ち物の展示もおもしろかった。自転車が趣味で、20台以上持っていたことや、映写機を愛用し、西洋文明に深く親しんでいたのが示される。字があまり上手でなく、満州語が習得できなかったことも、なんとなくおかしみを持ってみることができた。やはり、実際の品を目でみて確かめると、親近感が湧くものだ。私は字が下手で、語学が苦手だから、よけいにそう思った。
 展示を出ると、突然、中国の土産物屋のような光景が。通常、展示にまつわる美術品やカタログ、資料や、絵はがきが売られているのだが、ひすいのケータイストラップや、天然石の置物が呼び込みによって売られていた。ちょっと笑った。

*1:喋ってしまうのは大阪のおばちゃんだから?美術展で喋っている人は大変迷惑だが、今日のように宝物を愛でる会的なノリだとイヤではなかった。